日経 11月24日
2024年11月24日

2024年11月24日(日)
・トランプ次期米大統領は11/22、財務長官に投資家のスコット・ベッセント氏を指名。
トランプ氏に近い閣僚らで減税や高関税を推進する次期政権の布陣がほぼ固まった。
規制緩和やエネルギー開発などをテコに経済成長の実現を目指す。
高関税による物価高の再燃や保護主義の高まりは世界経済のリスク要因になる。
高関税の影響は世界経済に波及しかねない。
米モルガン・スタンレーの試算では中国に60%、
そのほかの国・地域に10%の一律関税を課した場合、
米経済の実質経済成長率に対して1.9%の押し下げ要因になる。
中国では過剰生産能力の問題が悪化して雇用と賃金の伸び鈍化につながる。
報復関税の応酬になれば影響はさらに広がりかねない。
・セブン&アイ・ホールディングス(HD) <3382> [終値2556.5円]創業家による
同社への買収提案で、創業家側が米KKRなど大手投資ファンドに参加を打診。
セブン&アイ全株式を取得する場合の総額は7兆円以上となる公算が大きい。
3メガバンクからの融資だけでは買収資金の確保が難しいとみて調達先を広げる。
・原子力発電の需要の増大に人材の供給が追いつかない恐れがある。
国内の大学・大学院で関連の進学者数を調べると「30年の空白」が浮かぶ。
急減したのは原子力施設の事故が相次いだ1990年代。
2011年の東日本大震災以前からの長い不信の間に4分の1に減り、技術力の基盤は弱ったまま。
世界は電力確保や脱炭素の観点から原発を再評価する流れにある。
不測の事態への備えが薄いままでは取り残されかねない。
長い空白は容易に埋まらない。
国内の原発建設は震災で中断し、20社超が撤退。
日本電機工業会の調査によると主要メーカーの原子力技能職は20年度までの10年間でほぼ半減。
関西電力 <9503> [終値1850.0円]の担当者は「技術伝承は時間との戦い」と話す。
・政府は新たに定める温暖化ガスの排出削減目標に関し、
2035年度に13年度比で60%減とする調整に入った。
経済成長との両立の観点では高いハードルとなるものの、
発電や運輸といった国内産業の脱炭素の加速を狙って打ち出す。
新目標は25年2月までに国連に提出する。
現在の目標は30年度に13年度比で46%減としている。
政府は40年度の電源構成を定める新たなエネルギー基本計画の素案を年内に示す。
温暖化ガス削減の新目標はその下地になる。
40年度の目標は13年度比で73%減が目安となる。
・上場企業の2025年3月期の純利益は前期比2%増となる見通し。
8月時点の1%減益予想から上振れし、一転して4年連続で最高益となる。
金利上昇が追い風となる金融で上方修正する動きが相次ぎ、全体を押し上げた。
他の非製造業(きょうのことば)も堅調だ。
半面、企業からはトランプ次期米政権の経済政策を見極めたいとの声が聞かれ、
先行きはなお不透明だ。
・日経新聞が東証プライム市場に上場する
3月期企業約1000社(親子上場の子会社など除く)の業績予想を集計。
会社予想がない場合は市場予想を使った。
今期は円高進行を警戒する企業が多く、期初時点では2%減益の予想だったが、
8月時点で1%減益、今回で増益転換と上振れしてきた。
今期予想が上振れした要因は金融の好調。
金融の上方修正額は8056億円と4~9月期決算時としては08年の金融危機以降で最高となり、
全体の上方修正額(1兆8905億円)の4割を占めた。
三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [終値1825.0円]は今期の純利益見通しを
前期比17%増の1兆7500億円と2500億円上方修正。
2年連続で最高益となる。
国内金利の上昇による利ざや改善や政策保有株売却が寄与する。
SOMPOホールディングス <8630> [終値3863円]今期に政策保有株を
2000億円売却する方針だったが、4000億円に倍増させる。
政策保有株の売却益などにより、
今期の純利益見通しを従来予想から1700億円引き上げた。
・トランプ次期米政権の主要閣僚人事では、
経済・内政や外交・安全保障で「米国第一」の政策の
忠実な実行を託せるイエスマンをそろえた。
歯止め役不在の危うさが鮮明になった。
トランプ氏は自身の起訴などへの報復も辞さない。
自身の意向に沿わない米軍幹部の一斉解任も検討しており、
暴走した場合に制止できるような人物は見当たらない。
閣僚候補には適格性が疑問視される候補が複数おり、上院での人事承認は見通しにくい。
上院は大統領が指名した閣僚を含む政府高官や
裁判所判事らの人事案に関する権限を持ち、半数の承認が必要になる。
共和から4人の造反が出れば否決される計算になる。
・日産自 <7201> [終値406.3円]は東南アジアの自動車産業の中心地であるタイで、
2025年秋までに約1000人規模の人員削減や配置転換を実施する。
比亜迪(BYD)など中国勢が日産中心にシェアの低い日系ブランドを狙い撃ちし、
販売網を切り崩している。日本勢の牙城であるタイの苦戦は、
東南アジアの周辺国にも影響を与える。
日産のほか、スズキ <7269> [終値1638.0円]やマツダ <7261> [終値1003.0円]
三菱自 <7211> [終値433.3円]などの販売店も中国系にくら替えする動きが出ている。
タイは年間350万台程度を売り上げる東南アジアの行方を占う重要な市場。
日本の牙城での苦戦は周辺国に波及する恐れがある。
・米アマゾン・ドット・コムは11/22、
人工知能(AI)開発の米新興企業アンソロピックに新たに40億ドル(約6000億円)を投資する。
累計出資額は80億ドルと倍増する。
生成AIはテクノロジー大手の競争力を左右する。
米オープンAIの対抗馬との関係を深め、クラウド世界最大手としての優位を固める戦略。
・ロシアのプーチン大統領は11/22、ウクライナに向けて11/21に発射した
新型中距離弾道ミサイル「オレシュニク」について、
「量産化する決定がなされた」と述べた。
実戦使用を含む実験を続けるという。
プーチン氏はまた、このミサイルの効果や威力は「戦略兵器に匹敵する」とし、
迎撃は不可能だと強調。
国防省高官や軍需企業幹部との会合で発言した。
中距離弾道ミサイルの射程は3千~5500キロと定義され、
露西部からだと欧州の全域が射程に入る。
米露間には中距離核戦力(INF)全廃条約があったが、2019年に失効している。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、新たな脅威に対応する防空システムについて、
パートナー諸国との協議を始めたと明らかにした。
・トランプ次期米大統領は22日、財政など経済政策を主導する財務長官に
投資ファンド経営者のスコット・ベセント氏を起用すると発表。
トランプ氏が選挙戦を通して掲げた法人税や所得税の減税や、中国との経済問題などを担う。
トランプ氏は声明で、ベセント氏の協力を得て
「ドルを世界の基軸通貨として維持し、経済大国としての地位を確固たるものにする」とし、
「米国の新たな黄金時代」を目指すと訴えた。
連邦債務の抑制や貿易不均衡の解消を図る考えも示した。
ベセント氏について自身が掲げる「米国第一」主義の「強力な支持者だ」と強調した。
Posted by 占い ザ・ハーミット at
12:42
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