日経 2月28日

日経 2月28日


2023年2月28日(火)

・防衛・大転換 激動の世界(1)日米同盟、危急の「現代化」中国・北朝鮮・ロシア「複合危機」の足音
 ロシアのウクライナ侵攻から1年が過ぎ、国際秩序は一変。
 日本は核兵器を持つ中国、北朝鮮、ロシアに囲まれ、複合的な危機の懸念もある。
 日本は昨年末、国家安全保障戦略を改定して防衛費の大幅増に踏み出した。
 日米同盟を「現代化」して備える。
 現代化は主に2つ意味がある。
 まずサイバーや宇宙といった新領域の現代戦への対処。
 もう一つは格段に防衛力を高め、緊密に連携すること。

・防衛・大転換 激動の世界(1)日米同盟、危急の「現代化」中国・北朝鮮・ロシア「複合危機」の足音
 日米同盟は「米国が矛(ほこ)、日本が盾」だった。
 攻撃力に限らず「米国が守ってくれる」関係といえた。
 いまは中国の軍事力が強大になった。
 日本の貢献を大幅に高め、米国と一体的に動く同盟に刷新しなければ対処できない。

・防衛・大転換 激動の世界(1)日米同盟、危急の「現代化」中国・北朝鮮・ロシア「複合危機」の足音
 米国が「世界の警察官」と呼ばれたのは過去の話。
 全世界に戦力を分散させる余裕は乏しい。
 中東は縮小し、アフガニスタンは撤退した。限られた戦力を現代化した上で、集中して配置しなければ抑止は効かない。
 中国とロシア、北朝鮮が連動する懸念もある。
 中ロは昨年、共同で戦闘機や爆撃機を日本海で飛行させた。
 韓国軍OBの趙顕珪氏は「台湾問題で米中の緊張が高まれば、中国は北朝鮮の積極的な軍事行動を容認する可能性が高い」と説く。

・防衛・大転換 激動の世界(1)日米同盟、危急の「現代化」中国・北朝鮮・ロシア「複合危機」の足音
 米国も多くの戦力を割く余裕は乏しい。
 だが単に米国の判断を受け入れるのではなく、日本が率先して問題提起して抑止力を高める別の道を探すことはできる。
 岸田文雄首相は1月の施政方針演説で「今回の決断は日本の安全保障政策の大転換だ」と表明。
 事態は切迫する。危急の大転換が日本と東アジアの平和を決める。

・脱炭素関連技術を手掛けるスタートアップへの資金流入が世界で増えている。
 「水素」や炭素回収など「脱炭素」分野の企業の調達額は2022年に21年比で倍増。
 スタートアップ全体では減少しており、好調が際立つ。各国が温暖化ガス排出削減を急ぐなか、
 大企業だけでなくスタートアップもGX(グリーントランスフォーメーション)のけん引役になるとの期待が高まっている。
 GX関連の有望企業の代表格がスウェーデンの電池メーカー、ノースボルト。
 水素テック分野では、米モノリス・マテリアルズ。
 脱炭素テックでは、米マイクロソフトを株主に持つスイスのクライムワークス。

・最先端半導体の国内生産を目指すラピダスが北海道に工場を建設する方針を固めた。
 小池淳義社長が28日に北海道の鈴木直道知事を訪ねて表明する。
 千歳市の工業団地が候補地となる見通し。
 最先端半導体の量産には総額で数兆円規模の大型投資が必要となる。
 北海道内でも有数の投資規模となる。
 ラピダスの進出が決まれば、新たに関連産業の集積なども見込まれることになる。

・厚生労働省の専門部会は27日、
 鼻にスプレーして接種するインフルエンザのワクチン「フルミスト点鼻液」について製造販売を認める方針を了承。
 2歳以上19歳未満が対象。国内で初めて鼻スプレーのワクチンが実用化する。
 従来の注射が重症化の予防に重点を置くのに対し、感染予防への効果を期待する専門家もおり、活用が広がる可能性がある。

・政府は3/1から中国からの渡航者への新型コロナウイルスの水際対策を緩和する。
 入国者全員に義務付けてきた検査について一部を対象としたサンプル検査に切り替える。
 出国前72時間以内の陰性証明を示せば入国できるようにする。

・日本郵政 <6178> [終値1229.5円]27日、傘下のゆうちょ銀行 <7182> [終値1156円]の株式を3月にも売却すると発表。
 最大10億8900万株を売り、出資比率(議決権ベース)を現在の89%から60%程度に下げる。
 売却額は1兆円を超える可能性がある。 
 今後さらなる売却で日本郵政の出資比率が50%以下まで下がれば、法律で課されている規制が緩和される。
 政府の認可が必要な新規業務は届け出で済むようになる。
 今は直接は手掛けていない住宅ローンや教育ローンなどの融資業務にも参入しやすくなるとみられる。

・地域金融機関と中小企業基盤整備機構が共同出資し、小規模の企業を支援する地域再生ファンドをつくる。
 新型コロナウイルス禍で債務を抱えた企業を支援する狙いで、まず西日本で30億円規模で始める。
 企業の延命策にせず、成長を後押しできるかが課題になる。

・外資の中国投資が低迷、2022年下半期(7~12月)の対中直接投資は18年ぶりの低水準。
 米中対立の激化や改革後退の懸念が投資リスクを高め、急速な少子高齢化で国内の消費市場も成長が鈍る恐れがある。
 資本流入の停滞が続くようなら技術革新が鈍り、将来の経済成長に影を落とす。

・中国国家外貨管理局、外国企業が中国で工場建設などに投じた対内直接投資は22年7~12月に425億ドル(約5兆8000億円)にとどまった。
 20年7~12月から22年1~6月までは平均で1600億ドルを超えていた。
 前年同期からの減少率は73%と、確認できる1999年以降で最大を記録した。
 中国企業による対外直接投資は同21%増の842億ドルだった。
 海外に向かう資金が国内に入ってくる資金を417億ドル上回り、5年半ぶりに流出超過となった。
 新型コロナウイルスを封じ込める「ゼロコロナ」政策の影響もあり、新規投資を手控える動きが広がった。
 中国商務省によると、外国企業が2022年10~12月に再投資を含めて実際に投じた資金は338億ドル。
 前年同期から35%減った。減少率は比較できる1996年以降で最も大きい。

・先端技術をめぐる米中の対立で中国を世界のサプライチェーン(供給網)の中核に据えるリスクが高まった。
 ソニーグループ <6758> [終値11400円]22年末までに、日米欧で販売する大半のカメラの生産を中国からタイの工場に移した。
 中国の外交圧力も一因。
 韓国のロッテグループは22年8月に最後に残っていた四川省の百貨店の売却を決めた。
 韓国が米軍による地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)を配備した報復措置として
 系列のスーパーの営業が停止され、不買運動も起きた。
 ゼロコロナ政策も中国経済への先行き不安を強めた。
 日本企業ではプレナス <9945> [MBO]や愛眼 <9854> [終値167円]が撤退を表明。

・米中対立は激しさを増す。
 米メディアによると、バイデン政権は特定のハイテク分野で中国への投資を完全に禁止する方策を検討しているという。
 西側諸国も追随すれば、対中投資がさらに絞られる可能性がある。
 中国は海外の資本や技術を取り込んで生産性を高めてきた。
 中国は人口減少社会に突入し、少子高齢化が急速に進む。
 外国企業の投資が滞れば将来の経済成長を下振れさせかねない。

・次期日銀総裁の候補で経済学者の植田和男氏への所信聴取が27日、参院で開かれた。
 植田氏は故安倍晋三元首相が進めた経済政策「アベノミクス」について「着実な成果が上がっている」とし、
 自民党最大派閥の安倍派やリフレ派に一定の配慮を示した。
 大規模な金融緩和政策は「メリットが副作用を上回っている」として継続が必要との考えを改めて強調。

・米政府が中国に対しロシアへの武器供与を断念するよう圧力を強めている。
 米高官は26日、中国が実行すれば制裁に踏み切る意向を示した。
 中国の急所とみる経済にも影響をおよぼすと警告し、欧州と足並みをそろえて対ロ支援を阻止する狙い。

・日銀 <8301> [終値25100円]27日、一部銘柄で市場参加者に国債を貸し出す際の貸出料を引き上げた。
 海外勢などの投機筋が国債を借りて売る「空売り」のコストを高くすることで空売りを難しくする狙いと。
 もっともコストの増加で証券会社などが市場取引を手がけることが難しくなり、市場機能が一段と悪化する恐れもある。
 残存8~9年の国債利回りは0.5%台後半と新発10年債の0.5%を上回る。
 国債売りを難しくして金利を抑え込む狙いがあるとみられる。

・岸田文雄首相は27日の衆院予算委員会で政府が掲げる子ども予算倍増のベースとなる基準について重ねて明示を避けた。
 「中身を決めずして最初から国内総生産(GDP)比いくらだとか今の予算との比較でとか、数字ありきではない」と語った。
 政策を整理した上で6月にまとめる経済財政運営の基本方針(骨太の方針)で大枠を示すと主張した。

・岸田文雄首相は27日、米国製の巡航ミサイル「トマホーク」について日本が400発の購入を計画していると明かした。
 政府は2023年度に契約を締結し26、27両年度に海上自衛隊のイージス艦へ配備を目指す。
 相手のミサイル発射拠点などをたたく「反撃能力」の行使手段にする。
 岸田政権は防衛力の抜本的な強化を提唱し、日米で協力して迎撃・反撃を一体的に運用する
 「統合防空ミサイル防衛(IAMD)」への移行を決めた。
 これに伴い、自衛隊がトマホークを使うための日米間の調整も進展した。

・報道各社の2月の世論調査で岸田文雄内閣の支持率は横ばいや小幅上昇が目立った。
 国会で閣僚が不祥事などを追及される場面が減ったのが寄与したとみられる。
 新型コロナウイルス対応を巡るマスク着用の判断なども下支えした。
 日本経済新聞社の24~26日の世論調査で内閣支持率は43%と1月調査から4ポイント上がった。
 2022年10月以来4カ月ぶりに40%台を回復。
 読売新聞と産経新聞の内閣支持率もそれぞれ2ポイントと2.9ポイント高くなり40%台に戻った。
 NHKは3ポイント改善し、朝日新聞と共同通信は前月からの変化が1ポイント未満でほぼ横ばいだった。

・食品や日用品の店頭価格の上昇が続いている。
 販売時点情報管理(POS)レジデータに基づく日次物価の前年比伸び率は2月時点でも6%台で推移し、1991年以来の高水準に。
 6割の品目は上昇率が1月より大きく、値上げが加速。
 一部は鈍化しており、インフレがピークにさしかかっている可能性がある。
 適正な価格転嫁や賃上げを伴う物価上昇に移れるかが焦点。

・欧米の高インフレは一足早く22年後半にかけて山を越えた。
 それでも急速な賃金上昇が続いてきたことで、物価上昇率が高止まりする懸念がくすぶっている。
 1月の米個人消費支出物価指数は前年同月比で5.4%上がり、市場予想を上回った。
 対照的に日本の足元の物価高は資源高や円安の要因が強い。
 賃金上昇や需要の回復を伴わなければ、一過性のインフレにとどまり、デフレからの完全脱却は遠のきかねない。

・厚生労働省は27日、従業員の休業手当を払う企業を支援する雇用調整助成金で、
 新型コロナウイルス禍で設けた特例を3月末にすべて終了することを正式に決めた。
 支給額の上乗せに続き、支給要件の緩和も終える。
 支給額が6兆円を超え、約3年と長引いた雇用の下支え策は、労働力の円滑な移動を阻んだと指摘される。
 副作用を含めた検証が欠かせない。
 コロナ禍では企業の雇用維持支援に重点を置く日本の政策の問題点も浮き彫りになった。
 財源難も深刻、2/24日時点で支給決定件数は770万件超、支給決定額は6兆3000億円を超えた。
 本来の雇調金向けの財源だけでは足りず、失業等給付のための積立金からの借り入れや一般会計からの繰り入れも余儀なくされている。 

・厚生労働省は27日、1月下旬に全国で運用が始まった「電子処方箋」について、普及に向けた追加策を検討すると明らかに。
 利用申請が済んだ病院や診療所は1割ほどにとどまっており、新たに繰り返し使用できるリフィル処方箋への対応などを進める。
 少子高齢化に伴い医療費の膨張が続いており、電子処方箋による重複投薬や過剰処方の抑制が欠かせない。

・電気の契約を失った企業に必ず電気を届けるセーフティーネット「最終保障供給」の利用社数が高止まりしている。
 2/1時点の契約件数は約4万1000件で、ピークだった2022年10月より5000件ほど減ったものの1年前と比べて50倍近く多い。
 異常事態はまだ続いている。

・地方銀行が事業承継したい企業と経営者人材をつなぐ「サーチファンド」に資金を投じる動きが広がってきた。
 横浜銀行 <7186> [終値590円]3月、全国で初めて首都圏の中小企業の承継に特化したサーチファンドを設立する。
 2022年には野村HD <8604> [終値571.0円]系の投資会社のファンドに阿波銀行 <8388> [終値2254円]などが出資。
 中小企業の新陳代謝を通じて地域経済の活性化に寄与しそう。
 サーチファンドは、経営者になりたい「サーチャー」が経営したい企業を選び、
 ファンドからの投資を通じて経営権を取得し、企業の経営者として成長戦略を描く事業承継モデル。
 1984年に米スタンフォードビジネススクールの教授が提唱した概念とされ、プライベートエクイティ(PE)投資の形態の一つ。

・野村アセットマネジメントは約400社の国内上場企業を対象に、脱炭素に伴う事業機会を定量評価する手法を導入する。
 企業が製品やサービスを通じて減らした二酸化炭素(CO2)排出量を金額換算し、営業利益と比較する。
 値が大きいほど事業機会を捉えていると見て評価を高める。
 企業のCO2削減に関する情報開示を促す狙い。
 約400社の上場企業に対し、同社が独自につけるESG(環境・社会・企業統治)スコアの評価項目として新たに取り入れる。

・MS&ADインシュアランス <8725> [終値4503円]の原典之社長、日経新聞のインタビューで
 「一部の海外拠点からの撤退を通じた採算改善を検討する」と述べた。
 自然災害の発生を平年並みと仮定した修正自己資本利益率(ROE)の2022年度数値は25年度目標(10%)に劣後しており、
 収益の低迷する海外事業立て直しを急ぐ。
 買収でも積極姿勢を保つ。22年には自然災害リスクを小さく取る米再保険仲介会社を買収。
 傘下の三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険の事務の共通化も加速させる。
 「ワンプラットフォーム戦略」として車両事故の調査や顧客対応の拠点を共通化するほか、
 海外拠点で未公開株(PE)や外債を共同運用する。
 原社長は「(26年度からの)次期中計でコスト削減効果が出る」と語った。

・世界中から巨額の暗号資産を奪ってきた北朝鮮が、
 サイバー攻撃の要員を国籍を偽って日米などのIT企業の事業に技術者として潜り込ませてきた実態が捜査当局の調べで判明。
 優秀な人材がサイバー要員を目指す北朝鮮特有の事情もある。
 北朝鮮が要員約7000人を擁し、世界に張り巡らしたサイバー犯罪のネットワークと対峙する国際社会の結束が問われている。

・北朝鮮が昨年、サイバー攻撃で世界中から奪い取った
 暗号資産(仮想通貨)総額は約16億5000万ドル(約2250億円)に上り、過去最高額を記録。
 日米韓は、北朝鮮の核・ミサイル開発の主要な資金源になっているとみて制裁に乗り出したが、国際社会の足並みはそろっていない。

・北朝鮮は従来、麻薬・覚醒剤や偽札、偽銘柄のたばこの密輸など、国際的なルールや法律を無視し、国家ぐるみで外貨稼ぎに邁進。
 北朝鮮のサイバー攻撃による巨額の暗号資産の奪取は、
 「アメーバ」のように時代ごとの抜け穴に合わせて変化する北朝鮮の外貨稼ぎを映し出す。
 韓国当局は、暗号資産の奪取について、制裁による打撃を回避するため、17年以降に活発化した新たな外貨稼ぎの手口とみている。
 22年だけで17億ドル近く稼ぎ出したとすれば、鉱物輸出や労働者派遣の禁止で生じたマイナスを十分補えたと考えられる。

・自民党の国民皆歯科健診実現プロジェクトチーム、
 今国会に議員立法での提出を目指す「歯科口腔保健推進法」改正案の概要が27日、判明。
 歯の健康が全身の健康や平均寿命にも影響するといわれる一方、
 現行の歯科健診は乳幼児期や児童生徒など40代以下と高齢者が中心で、
 働き盛りの世代で手薄である現状を踏まえ、全世代での歯科健診の重要性を訴えた。
 個人に対する健診の義務付けは示さず。



Posted by 占い ザ・ハーミット at 13:21│Comments(0)
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