日経 3月3日

日経 3月3日


2023年3月3日(金)

・投資信託を毎月一定額積み立て購入する人が増えている。
 インターネット証券大手5社では合計で月約2000億円と、この1年半で2倍になった。
 老後への不安から投資に乗り出す若年層が増えている。
 投信積み立ては長期に資産を増やす運用手法で短期の売却を前提としない。
 少額投資非課税制度(NISA)の改革もあり、今後も累積的に投資額が膨らむ見込み。
 個人マネーの「貯蓄から投資」の動きに拍車がかかってきた。

・SBI証券 <8473> [終値2892円]、楽天証券 <4755> [終値674円]、マネックス証券 <8698> [終値474円]、
 auカブコム証券 <8306> [終値945.7円]、松井証券 <8628> [終値803円]に、積み立てによる毎月の投信購入額を聞き取り調査。
 選べる投信が多く、ポイント優遇などのあるネット証券経由が投信積み立て全体の7~8割程度を占めるとみられる。
 5社経由の月間の投信購入額は2021年5月に初めて1000億円を超え、22年10月に2000億円に達した。

・幅広い銘柄を組み入れる投信を毎月、買い続ける手法は投資対象や投資のタイミングが分散され、
 リスクを抑えながら長期に資産を増やすのに適しているとされる。
 2018年開始のつみたてNISAも後押しする。
 金融庁によると、22年12月末時点で口座数は725万口座(速報値)と1年前に比べて40%増。
 あるネット証券では投信積立額の3割強がつみたてNISAを経由する。
 楽天証券 <4755> [終値674.9円]ではつみたてNISAの利用者の8割以上を40代以下が占め
 「将来に備えて資産形成する意欲は若い人ほど高い」(楽天証券)という。

・24年には新しいNISAが始まる。
 つみたて投資枠は年120万円と、現行制度の3倍になる。
 あるネット証券ではつみたてNISAの平均積立額は月約3万円と、現行の上限(月3万3333円)に近い。
 月の上限が10万円に引き上げられるのに併せて積立額を増やす動きも広がりそう。

・日本企業への成長期待は低い。
 東京証券取引所はPBR(株価純資産倍率)が1倍を割り込む市場評価の低い企業に対して、
 資本コストや株価を意識した経営をするように改善を求めていく方針。
 魅力を高めた企業に個人マネーが向かい、企業の成長を加速させる好循環を国内に生む取り組みが課題となる。

・防衛・大転換 激動の世界(4)同盟不在のウクライナ、命綱は装備 長期戦の懸念
 バイデン米大統領は2/20、ウクライナの首都キーウ(キエフ)を電撃的に訪問。
 ゼレンスキー大統領は会談後の記者会見で「この訪問の成果は必ず戦場や領土の解放に反映される」と話した。
 重要だったのは米国からの武器支援を継続するとの約束。
 主な対象は事前に表明済みのものにとどまったものの、バイデン氏は「ウクライナが今後も勝利を続けると確信している」と強調した。
 日本も影響は受ける。
 侵攻が長く続けば東アジアの軍事バランスも崩れかねない。
 世界的に米軍の武器・弾薬の在庫が減るだけでなく、米国製の装備を購入する日本や台湾の防衛力の整備も遅れる心配がある。
 脅威は連鎖し、世界に広がる。

・政府は企業が子会社や事業を分離・独立させるスピンオフ時の税制優遇を拡大する。
 減税要件を現行の「完全分離」から株式保有20%未満に引き下げる。
 2023年度の1年限りの時限措置として企業の社内ベンチャーや事業再編を後押しする。
 スピンオフは会社分割手法の一つ。
 独立した会社が単体で資本調達可能となり、迅速な意思決定につながるとされる。
 政府は23年度の1年限定にすることで短期間に事業再編を進めるよう促す。
 スピンオフの優遇対象を広げれば人材や技術を持つ企業の社内起業やスタートアップ創出に結びつくと期待する。
 米欧はスピンオフ事例が多く、産業の新陳代謝が進みやすい環境から巨大テック企業が生まれたとの見方がある。

・ブリンケン米国務長官とロシアのラブロフ外相は2日、訪問先のインドで10分ほど話した。
 2022年2/24にロシアがウクライナを侵攻した後に対面で会うのは初めて。
 ブリンケン氏はロシアが決めた新戦略兵器削減条約(新START)の履行停止を撤回するよう要求した。
 タス通信によると、両者は話をしたが、ロシア外務省のザハロワ情報局長は「会談などではない」と説明した。

・日銀 <8301> [終値24510円]の黒田東彦総裁のもと10年続いた異次元緩和が問われている。
 前任の白川方明氏は国際通貨基金(IMF)の季刊誌で黒田緩和を「効果は控えめ」と評価し、
 長期の緩和が「生産性向上への悪影響」をもたらすと指摘した。
 だが拙速な正常化は賃上げの機運をつぶし、かえって緩和の長期化を招きかねない。
 政策の副作用を抑えつつ、官民で成長押し上げに挑む空気をいかにつくるか。
 新総裁候補の植田和男氏には重い責務がのしかかる。
 植田日銀には、金融緩和の副作用を抑えて拙速な正常化を避けつつ、
 成長力の押し上げや長い目でみた財政の健全化に向けた「オールジャパン」の議論を促す役割も求められる。

・米テスラは1日、低価格の小型電気自動車(EV)を数年内に投入する計画を発表。
 新たな車両組み立て方式の工場をメキシコ北部に建設し、生産コストの半減を目指す。
 ガソリンエンジン車並みの価格の車種を品ぞろえし、EV市場で追い上げるライバルを突き放す。
 テスラが大衆車市場に本格参入すれば、ガソリン車を含む競争環境は様変わりする。
 米S&Pグローバルモビリティの西本真敏氏は「テスラの低価格EVは従来の車大手にとって脅威になる」と指摘する。

・在庫をできるだけ抱えないようにする「持たざる経営」が変化している。
 2022年10~12月期に製造業の原材料・貯蔵品在庫は22兆円と新型コロナウイルス禍前の1.5倍に膨らんだ。
 供給網の混乱が長引き、一定の在庫を持たなければ安定生産が難しくなっているため。
 米中対立など世界経済の分断の深まりも企業戦略の見直しを迫る。
 先端技術を巡る米中対立など供給網の混乱要因はなおくすぶり続けている。
 平時の効率の追求と有事への備えのバランスをどう見直すかが各社の重い経営課題になる。

・トヨタ <7203> [終値1863.5円]は22年12月末の棚卸し資産が4兆341億円で19年12月末の1.6倍となった。
 原料高や為替の影響が大きいと説明する。
 「ジャスト・イン・タイムの考え方は変わらない」(トヨタ幹部)と強調しつつも、リスクが高い重要部品の調達先を分散するなどの対策を進める。

・村田製作所 <6981> [終値7344円]も22年12月時点で5749億円と、3年前よりも約2500億円増えた。
 スマートフォンの需要低迷で電子部品の販売が落ち込んだ影響だけではない。
 南出雅範取締役は「事業継続計画(BCP)対応により適正在庫水準を引き上げている」と話す。

・大企業と中小企業の収益力に差が出ている。
 2022年10~12月期の法人企業統計調査では、大企業の経常利益は8四半期連続で前年同期を上回ったのに、中小は減益に転じた。
 様々なコストの上昇や価格転嫁の遅れが響く。
 労働者の7割を抱える中小の賃上げ余力が乏しいままでは、処遇改善の裾野が広がらない。
 物価高を上回る賃上げが広がりを欠けば、家計の購買力が低下し、景気の下振れ圧力となる。

・米連邦議会下院の外交委員会は1日、中国発の動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国内での一般利用を禁じる法案を可決。
 若者を中心に約1億の米国人が利用する膨大なデータが中国政府に流出していると懸念する。
 欧州連合(EU)でも議員や職員に私的な利用をやめるよう勧告する動きが広がっている。
 ティックトックはロビー活動を通じて米議員の説得にあたる。
 周受資・最高経営責任者(CEO)は今月下旬に米議会の公聴会に出席し、一連の懸念に反論する。

・政府は2023年度から陸海空3自衛隊の運用や作戦情報を一元集約する「中央クラウド」の整備を始める。
 陸海空がそれぞれ個別のシステムで指揮統制に関する情報などを管理する現行の体制を改める。
 各部隊が連携する統合運用の強化につなげる。
 サイバーなど新領域で部隊の壁を越えた対処は増えている。
 自衛隊には中央クラウドのシステムが整う前であっても、平時から陸海空が縦割りにならずに情報共有できる態勢づくりが求められている。

・浜田靖一防衛相は2日の参院予算委員会で、10年後をめどに弾薬庫を全国に130棟程度整備する方針を示した。
 このうち70棟ほどを2027年度までに整備する。
 弾薬庫は長射程の「スタンド・オフ・ミサイル」などを保管できる大型のものを含む。
 「自衛隊の十分な継戦能力を確保する」と強調。
 岸田文雄首相は「整備には周辺施設と十分な距離を確保するなど安全面を配慮する」と語った。

・大手電力会社による新電力の顧客情報の不正閲覧を巡り、政府内で再発防止の議論が活発に。
 内閣府の有識者会議は2日、
 大手電力の小売部門と送配電子会社の資本関係を完全に切り離す「所有権分離」を求める提言をまとめた。
 経済産業省でも罰則や監視機能の強化案が浮上する。
 東日本大震災後の電力システム改革は検証を迫られている。
 電力各社はウクライナ危機による燃料費の高止まりを受け、規制料金の値上げを申請している。
 そのさなかで露見した不祥事に厳しい視線が注がれている。
 政府には公正な競争環境を整えつつ、電力の安定供給を維持できる環境整備が求められている。

・欧州連合(EU)統計局が2日発表した2月のユーロ圏の消費者物価指数は前年同月比8.5%上昇。
 資源価格の高騰が落ち着き、伸び率は4カ月連続で鈍化した。
 食品やサービスに値上げの裾野が広がり、ドイツやフランスではインフレが再び加速している。
 欧州中央銀行(ECB)による大幅利上げが長引くとの見方も強まってきた。
 ECBは3月から保有資産の圧縮に動く。量的緩和政策で膨らんだ資産を6月にかけて月150億ユーロ(約2兆1000億円)規模で削減する計画。

・2022年10~12月期の法人企業統計調査の公表を受け、
 日経新聞社が2日、民間エコノミスト10人に国内総生産(GDP)改定値の予測を聞いたところ、平均は前期比年率の実質で0.6%増となった。
 2/14発表の速報値と同じ。内閣府は9日に改定値を公表する。
 先行きについては、海外景気の悪化を受けて「輸出の下振れが23年の景気を下押しする。
 設備投資の増勢も鈍化する可能性があり、内需も力強さを欠くなかで先行きは減速感が強まる」との指摘もあった。

・東京電力HD <9501> [終値446円]の小野明・福島第1廃炉推進カンパニー最高責任者は、
 同原子力発電所の処理水の海洋放出に必要な設備を巡り「春ごろの工事完了をめざしている」と述べた。
 政府と東電が予定する春から夏ごろの放出開始に向けて「(工事は)順調に推移している」と説明。
 23年度後半に核燃料が溶け落ちた「デブリ」の試験的取り出しに2号機から着手する。

・内閣府が2日発表した2月の消費動向調査によると、
 消費者(2人以上の世帯)が予想する1年後の物価は上昇率が「5%以上」と回答した人が66.8%に上った。
 遡れる2004年4月以降で過去最高となった。
 食品やエネルギーといった生活に身近な品目で値上がりが続き、多くの人が今後も物価上昇が続くとみている。

・金融庁は一般投資家への情報開示を義務付ける大量保有報告制度を見直す。
 機関投資家向けの特例制度を見直し、気候変動などの問題で企業との対話をしやすくする。
 市場内取引を使って買い手の意図が分からないままに大量の株式を取得する「ステルス買収」の封じ込めにも動く。
 TOB(株式公開買い付け)制度を見直し、投資家の保護を徹底する。
 親会社と子会社の双方が上場する日本特有の親子上場の問題にもメスを入れる。
 約300社ほどある親子上場は、過半数の株を保有する親会社の利益を優先した行動に向きがちになる。
 英国では30%超の株を保有するとそれ以外のすべての株を買い付ける義務があり、親子上場は基本的に存在しない。
 日本では全部買い付け義務は3分の2以上となっており、海外制度も踏まえながら投資家保護の仕組みを検討していく。

・米債券市場でインフレと金融引き締めの長期化を織り込む動きが加速している。
 市場が予測する利上げの到達点が一段と上がり、米長期金利は約4カ月ぶりに4%台に上昇。
 政策金利の動きに敏感な2年物国債の利回りは15年ぶりの高水準となった。
 景気後退のサインとされる、2年債利回りが10年債を上回る「逆イールド」は深まり、中長期の経済減速懸念も増す。

・米国の長期金利の指標となる10年物国債の利回りは1日、2022年11月以来となる4%台に上昇。
 直接のきっかけは米サプライマネジメント協会(ISM)が同日発表
 2月の製造業景況感指数で、仕入れ価格の水準を示す指数が大きく上昇したこと。
 米国では1月以降、雇用統計や消費者物価指数(CPI)や小売売上高、個人消費支出(PCE)といった指標が市場予想を上回る強さをみせた。
 米連邦準備理事会(FRB)が利上げで景気を減速させインフレを抑え込もうとしているにもかかわらず、米経済は底堅さを保つ。
 来週にかけて重要な米経済指標が相次ぐ。
 市場が見込むほど米経済が強くなければ再び年内の利下げ観測が強まるとの見方もある。

・日本株はよみがえるか(4)金融・財政支援で企業弛緩 利益率5%未満6割、淘汰なき経済 競争原理回復が成長のカギ
 収益性の低い企業が多い経済では、金融緩和が投資などを通じて景気を押し上げる力が弱くなるという。
 個々の企業を助けるはずの金融緩和が逆に企業全体の競争力をそぎ、日本株の低迷につながっている。
 これから一段と問われるのは稼ぐ力だ。
 ROIC(投下資本利益率)経営で知られるオムロンは、積極的に事業を入れ替えている。
 19年秋には売上高の1割以上を占めていた車載事業を1000億円で日本電産に売却。
 その後、医療データ分析企業に出資するなど、競争力を持つヘルスケア領域へ重点的に資金を投下している。
 金融と財政の支援が無くなったとき、待ち受けるのは淘汰の波かもしれない。
 しかし、競争原理を取り戻した先に強い経済、そして日本株の回復が待っている。

・ニューヨーク市場の改質ガソリン先物(期近)が1日、
 一時前日比10%高い1ガロン2.6ドル台後半まで上昇し、1カ月ぶりの高値をつけた。
 暖冬の影響でレジャー消費が上向き、ガソリン需要は伸びている。
 製油所稼働率の低下に伴う生産減でガソリン在庫も低水準にとどまり、需給逼迫を意識した買いが集まっている。

・中国政府は電気自動車(EV)など新エネルギー車に対する自動車取得税の免税措置延長の検討に入る。
 2022年の中国の新エネ車販売台数は世界最大の688万台で、23年は3割増を見込む。
 中国経済を支える自動車産業を支援して、経済成長の持続をめざす。

・北朝鮮メディアは2日、朝鮮労働党が1日まで開いた中央委員会総会(党総会)の詳細を伝えた。
 金正恩総書記は「すべての農場で収穫量を増やすことを中心に置いた闘争」を指示した。
 新型コロナウイルス、天候不順、流通混乱の影響とみられ、韓国の聯合ニュースは「南部で餓死者」と報道。北朝鮮指導部は危機感を強めている。

・ベトナムの自動車メーカー、ビンファストは2日、米国で電気自動車(EV)の販売を1日に開始したと発表。
 カリフォルニア州内の9店舗で45台を顧客に引き渡した。
 米国での販売開始を受け、今後は欧州での販売にも乗り出す方針。

・米上院は1日、企業年金運用でESG(環境・社会・企業統治)を考慮した投資判断を禁じる決議案を50対46で可決。
 下院は前日に通過していた。
 バイデン大統領は拒否権を行使する見通し。
 バイデン政権発足以降、上下両院で賛成多数となった法案や決議案に対する拒否権の行使は初となる。
 野党・共和党議員が提案した決議案は、企業年金の運用者がESG要素を取り入れて投資対象を選別したり
 議決権を行使したりできると定めた米労働省の規則を「承認しない」という内容。
 バイデン氏が拒否権を行使すれば、労働省の現行規則は有効なままとなり、企業年金のESG投資を巡る環境が急変することはなさそうだ。
 ただ、2月の一般教書演説で触れた富裕層や企業への増税案などは、ESGと同じく民主党内部からも反発の声がある。
 優先課題に掲げる政策の実現性が揺らげばバイデン氏の求心力は低下し、24年の大統領選の構図に影響する可能性がある。

・米政府は2日、新しい「国家サイバーセキュリティー戦略」を発表。
 重要インフラを運営する官民の事業者にサイバー攻撃へ備える要件を課す方針。
 エネルギーや医療機関、水道事業などの対策強化を想定する。
 高度化する攻撃に対抗する体制を構築し、安全保障や経済のリスクを軽減する。
 米政府高官は記者団に「より強靱(きょうじん)なサイバーインフラを構築する。
 国境を越えた脅威へ国際社会との協力を強化する」と説明した。

・・2日に実質的な討議が行われた20カ国・地域(G20)外相会合、
 ロシアのウクライナ侵略をめぐり、米欧とロシアの対立が改めて鮮明となった。
 双方は批判を応酬した上で、侵略をめぐって対応が揺れるグローバルサウス(南半球を中心とする途上国)を取り込む動きを強化。
 議長国インドはG20の融和と団結を呼びかけたが、顕在化したのは深刻な分断だった。

・ロシアのプーチン大統領は米露間で唯一残る核軍縮合意「新戦略兵器削減条約(新START)」の履行を停止し、
 ウクライナを支援する米欧を核で威圧している。
 世界の核軍縮後退や中国による核兵器増強が懸念される。
 ただ、米中などとの軍拡競争に発展すれば、経済が低迷するロシアが出遅れ劣勢になる恐れもあり、
 米国と非公式対話を行う姿勢もにじませる。
 米議会ではロジャース下院軍事委員長(共和党)が「中国の核兵器の近代化計画が進んでいる」として、
 核戦力の態勢整備を加速させ、中露を抑止すべきだとの意見も出ている。



Posted by 占い ザ・ハーミット at 13:38│Comments(0)
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