日経 3月10日

日経 3月10日

2023年 3月10日

・理化学研究所は9日、国産初の量子コンピューターを3月末にインターネットを通じて使えるようにすると発表。
 企業や大学に利用を促し、脱炭素につながる素材や画期的な新薬の開発を後押しする。
 量子コンピューターの開発は米グーグルなど米中勢が先行。
 機器の開発と現場での応用を並行して進め、日本の産業競争力の確保につなげる。
 量子コンピューターはスーパーコンピューターの1億倍以上の速さで複雑な問題を解く能力を持つ。
 金融市場の予測のほか、化学や製薬、自動車など幅広い産業への活用が見込まれており、
 新製品の開発などに革新をもたらす可能性を秘める。
 ボストン・コンサルティング・グループは量子コンピューターが
 2040年ごろに最大8500億ドル(約110兆円)の経済価値を生むと予測する。

・セブン&アイHD <3382> [終値6589円]は9日、
 総合スーパー、イトーヨーカ堂の店舗を2026年2月末までに2割超削減すると発表。
 グループ発祥のアパレル事業からは完全撤退する。

・日立 <6501> [終値7188円]大規模災害で停電した地域に、
 電気自動車(EV)を給電目的で迅速に派遣するシステムを自治体に提供する。
 日立のシステムに自動車販売店や運送会社がEVの台数や充電状況などを事前に登録。
 避難所に近い販売店や交通情報も災害時に取り込み、最適なEVを派遣する。
 EVの本格普及を見据え、「走る蓄電池」として活用する動きが広がってきた。
 EVを派遣した事業者には走行距離や給電時間に応じた報酬を自治体が支払うことなどを想定。
 将来的には個人のEVの活用や、複数の自治体でEVを融通する事業なども視野に入れる。

・政府は9日、外国人が安全保障上重要な国内企業の株式を取得する際の
 重点審査対象(コア業種)に、半導体や蓄電池など9物資に関わる業種を追加すると発表。
 企業活動や国民生活に不可欠な物資への監視を強め、
 サプライチェーン(供給網)の確保や技術流出の防止につなげる。
 追加対象は塩化カリウムなどの肥料、工作機械・産業用ロボット、蓄電池、金属鉱産物、
 金属3Dプリンター、永久磁石、製造装置などの半導体関連、天然ガス、船舶部品の9物資。
 製造や輸入などに関わる企業への投資に事前届け出を求める。
 金属3Dプリンターは特定重要物資ではないが、コア業種への追加で技術流出や軍事転用を防ぐ。
 ドローンについて、既にコア業種である航空機製造業に含まれることを明確にする規定も盛る。

・全国の地方銀行が地域企業の再生で連携する。
 独立系ファンドのトパーズ・キャピタル(東京・港)が中心となって月内に立ち上げるファンドに、
 横浜銀行 <7186> [終値602円]や福岡銀行 <8354> [終値3045円]など地銀15~20行程度参加。
 規模は最大200億円になる見通し。
 実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」の返済本格化で過剰債務を抱える企業の再建が課題となり、
 中堅・中小企業の財務を強化する資本支援の枠組みを整える。

・身代金要求型ウイルス「ランサムウエア」の一部について、
 暗号化された被害企業などのデータを復元するツールを警察庁が独自に開発。
 海外の捜査機関にも提供・共有しており、国際的にも注目されている。
 サイバー事案への対処能力は治安情勢はもちろん、
 経済安全保障の観点から国力そのものに決定的な影響を与える。
 日本警察は当面、技術を生かした解析などの側面から捜査を支え、国際連携を強めていくことになる。
 サイバー捜査の課題や国際捜査の現状などについて、警察庁は自ら情報を発信し、社会に訴えていく必要がある。

・米政府は元徴用工問題で歩み寄った日本と韓国に
 3カ国による安全保障協力の拡大を検討するよう働きかける方針。
 北朝鮮や中国を抑止するため、米国の核を含む戦力で
 同盟国を守る「拡大抑止」の強化を話し合う新しい枠組みを設ける案が浮上する。

・JR東日本 <9020> [終値7359円]9日、
 千葉・房総半島の中央部を走る久留里線の一部区間について、
 バスなど他の交通手段への転換を視野にした協議を自治体に申し入れたと発表。
 利用者が少なく、不採算が続いていた。
 JR東が不採算を理由に自治体に協議を求めるのは初めて。
 採算が悪化したローカル線の再編に向けた動きが具体化してきた。

・記憶に必要な半導体メモリーの市況悪化に拍車がかかっている。
 韓国SKハイニックスなどメモリー大手各社は2022年10~12月期に相次ぎ赤字に転落。
 スマートフォンの需要鈍化などで半導体在庫が積み上がり、価格の押し下げ圧力が続いている。
 右肩あがりにデータ量が増える中で半導体市場も安定成長を続けるとの見立てもあったが、
 周期的な市況の悪化を克服できずにいる。

・メモリーの事業環境は急激に悪化。要因は価格の下落。
 韓国サムスン電子の半導体事業は、22年10~12月期の営業利益が前年同期比97%減。
 SKハイニックスやキオクシアホールディングスなどは営業赤字に転落。

・世界半導体市場統計(WSTS)が11月に示した市場予想(金額ベース)、
 メモリーが2022年に12.6%減、23年に17%減。
 ロジック(演算用)半導体も23年に前年比2%減になると予測する。
 23年の半導体市場は、19年(12%減)以来の前年割れとなる。

・株式市場もメモリー不況の先を見越し始めた。
 半導体各社の株価は22年末に底を打って回復基調に入っている。
 サムスンの3月8日時点の株価は22年末比9%高、SKハイニックスは16%高の水準にある。
 とはいえ21年末比と比べれば、2~3割安の水準で、
 半導体市況がバランスを取り戻すタイミングを探っている段階にある。
 スマホなど最終需要の立ち上がりはマクロ景気に左右される。
 今回の半導体市況の落ち込みは「今までに経験したことがない規模」との声もあがり、
 先行きの不透明感は強いまま。
 技術開発や量産工程の立ち上げに必要な投資規模が膨らむ中で、
 業績悪化の局面が続けば各社の経営のかじ取りも難しさを増すことになる。

・セブン&アイHD <3382> [終値6589円]グループ経営が大きな試練に直面している。
 積年の課題であるイトーヨーカ堂をグループ内にとどめながらも、大幅リストラに踏み出すと発表も先行きは厳しい。
 店舗閉鎖は雇用問題や地域との摩擦があり、得意の食品に集中したとしてもライバルに勝てる保証はない。
 コンビニエンスストアの将来にも、加盟店オーナーの担い手不足など懸念は多い。

・国会は10日の参院本会議で、次期日銀総裁に
 経済学者で元日銀審議委員の植田和男氏を充てる政府の人事案を可決、承認する。
 副総裁に氷見野良三前金融庁長官と内田真一日銀理事を起用する案にも同意する。

・バイデン米大統領は9日、2024会計年度(23年10月~24年9月)の予算教書を公表する。
 高所得層に負担増を求め、10年間で計3兆ドル(約410兆円)近く財政赤字を削減する意向を示す。
 予算編成権を握る米議会に提出する。
 予算教書は税財政を決定する米連邦議会に対し、大統領が政権運営の意思を伝えるもの。
 強制力はなく、盛り込まれた政策を実現するかどうかは議会の判断になる。
 米議会は下院の過半数を野党の共和党が握っているため、そのまま実現する可能性は高くない。

・日本経済の回復の鈍さが浮き彫りになっている。
 内閣府が9日公表した2022年10-12月期の国内総生産(GDP)改定値は
 前期比年率で0.1%増と、速報値(0.6%増)から下方修正。
 新型コロナウイルス禍からの経済正常化の途上で、物価高が消費回復を遅らせている。
 海外の景気減速も企業に波及し、先行きは不透明さを増している。

・国内の消費者物価は2月以降、政策効果で統計上の上昇率は抑えられる見通し。
 みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介氏は「23年前半まで上昇率は3%前後で推移し、
 物価高が家計の重荷になる状況は続く」と指摘する。
 外需の下押し圧力が強まるなか、内需で日本経済を支えるには春季労使交渉などでの賃上げが欠かせない。

・国土交通省は2023年度に、土木・建築工事などで使う建設機械の電動化に関する認定制度を新設する。
 国の脱炭素方針に合った電動建機の研究開発や普及を後押しするため、
 公共事業の発注に関する優遇措置や補助金といった支援策も検討する。
 海外で需要が高まる電動建機は大手メーカーが販路開拓を進めており、国際競争力の強化も狙う。
 日本メーカーもコマツ <6301> [終値3469.0円]や日立建機 <6305> [終値3375円]といった
 大手各社が新型機の研究開発を進め、欧州での販売にも乗り出している。
 国の認定制度を通じて日本製の電動建機の品質をアピールできれば、海外での販路拡大を後押しすることにもつながる。

・厚生労働省は2024年度から特定の化学物質を扱う企業に
 リスク評価や保管を担う管理者を置くよう義務づける。
 現在は管理者について明確な基準がなく、安全管理は事実上、企業任せだった。
 23年度から674物質で安全管理の規制を始め、対象を順次拡大する。
 安全管理が厳しい欧米の水準に近づけ、従業員の労働災害を防ぐ。

・経済産業省は大都市近郊に集中するデータセンターの地方分散を後押しする。
 地方にセンターを新設する企業に整備費用の半額を補助する。
 支援を受けたい企業の公募を2023年度に開始する。災害時の通信障害リスクの低減につなげる。
 今後の普及が期待される自動運転や遠隔医療などでは、
 指示した動作の実行までにかかる応答速度を短くすることが欠かせない。
 新たなサービスの全国展開に向けては、地方でのデータセンターの整備が求められている。

・カナダ銀行(中央銀行)が主要7カ国(G7)の中銀に先駆けて
 高インフレ抑制のための継続利上げを停止した。
 主要国より著しい住宅市場の冷え込みなど、米国などと比べて金融引き締めの影響が表れている背景。
 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は利上げ再加速を示唆した。
 同じ高インフレでも各国で要因は異なり、中央銀行の対応に差が出ている。

・米国の暗号資産(仮想通貨)ビジネスを取り巻く環境が厳しさを増している。
 仮想通貨交換業大手FTXトレーディング破綻の余波で、取引銀行の経営が行き詰まった。
 実社会での決済手段として根付かず、もっぱら投資・投機目的で使われる仮想通貨の現状を象徴する。
 仮想通貨の基盤技術ブロックチェーンは契約の仕組みを変え、
 金融取引の将来図を書き換えるものと有望視されている。
 仮想通貨のリスク抑制や投資家保護を図りつつ、ブロックチェーンの応用分野をいかに広げるか。
 適切な規制のあり方が問われる。

・【全面広告】日本トリム <6788> [終値3120円]「電解水透析」が透析にイノベーションを起こす
 水素を利用した「電解水透析」は、Well-Beingにスポットを当てた日本発の新規治療法です。
 電解質透析システムは現在、29施設、941床に導入、約2700名が電解水透析を受けている。

・米国の戦略石油備蓄(SPR)の追加放出が原油相場の上値を抑えている。
 2月に2600万バレル分の放出を決定。
 ロシアの減産による価格上昇圧力を打ち消す狙いがあるとみられる。
 先物価格は1バレル80ドルを上値とするレンジ圏内にとどまるなど、一定の効果が出ているようだ。
 備蓄は約40年ぶりの水準まで減り、有事に放出できる余力が限られる懸念も浮上している。

・米連邦準備理事会(FRB)がインフレ抑制策として政策金利の引き上げを開始して以降、
 借り入れコストが急上昇している。
 現在、投資家が低格付けの米企業に対して
 支払いを求める社債金利は年約9%と、2021年3月の5%弱から大幅に上昇。
 こうした社債金利の上昇を受け、高格付けの企業は事業拡大や買収の際に、
 新たな負債による資金調達を避け、格付けを維持するために株式への依存を一層強めている。

・財務省が9日発表した対外・対内証券売買契約などの状況によると、
 海外投資家は2月26日~3月4日に国内の中長期債を8007億円売り越した。
 売越額は7週ぶりの高水準。
 日銀の金融政策決定会合を前に、
 長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)修正への警戒感が強まって売りが増えたようだ。

・農業大国インドで内外のメーカー各社が相次いで農薬の生産・開発投資に動いている。
 地元財閥ゴドレジ・グループや独化学大手バイエル、日産化学 <4021> [終値6140円]など顔ぶれは多様。
 害虫や雑草を駆除する薬剤の需要を取り込む。
 インドは人口が世界最多の巨大市場ながら、零細農家が多く農薬の普及は遅れている。
 各社の販売が広がることで食料供給の安定にも寄与しそうだ。

・中国国家統計局が9日発表した2023年2月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.0%上昇。
 伸びは1月の2.1%から大幅に鈍化し、22年2月以来の低さとなった。
 春節(旧正月)休暇が終わり旅行などの需要が落ち着いたほか、
 自動車など耐久消費財の販売回復の遅れもCPIの伸びを抑えている。

・岸田文雄首相は16日に訪日する韓国の尹錫悦大統領といわゆる徴用工訴訟問題の解決策に向け会談する。
 首相には外相時代の2015年に慰安婦問題の「不可逆的な解決」を確認した日韓合意を
 韓国政府にほごにされた苦い記憶があり、徴用工を巡っては外務省に慎重に交渉を行うよう繰り返し指示。
 ただ、解決策には韓国側が日本に債務支払いを求める権利「求償権」の放棄は盛り込まれず、
 将来的に蒸し返されるリスクは消えていない。

・日銀 <8301> [終24710値円]9日、黒田東彦総裁の下で最後となる金融政策決定会合を2日間の日程で始めた。
 10日に公表される決定内容とともに、会合終了後の記者会見に黒田氏が在任10年間をどう総括するかも注目。
 エコノミスト採点では平均オール「3」にも満たない、厳しい評価に。



Posted by 占い ザ・ハーミット at 12:47│Comments(0)
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