日経 3月31日

日経 3月31日


2023年3月31日(金)


・政府は2024年度にも、新東名高速道路の一部に自動運転車用のレーンを設置する。
 主に夜のトラックで完全自動に近い「レベル4」の実用化を想定する。
 少子高齢化で物流の人手不足が深刻になるのをにらみ、省人化技術を活用できる環境を整える。
 近くまとめるデジタルインフラの整備計画の柱に位置づけ、民間の開発を後押しする。
 実際に走れるインフラの目玉となる新東名のレーンは駿河湾沼津と浜松の両サービスエリア間の100キロメートル超にする方針。
 自動運転の専用か優先かは今後詰める。

・自動運転はレベル1(自動ブレーキなどの運転支援)から5(完全自動)に分ける国際基準がある。
 国内で実用化しているのは、システムが運転を担い、必要に応じ手動に切り替えるレベル3までだ。
 地域限定など一定の条件で運転手が不要になるレベル4は4月施行の改正道路交通法で解禁になる。
 従来は短い距離の無人バスなどの実証実験にとどまってきた。
 等間隔に置いたセンサーやカメラなどで路面や車両の状況をリアルタイムで把握し、
 地図や3次元空間のデータベースと組み合わせて安全に走れるようにする。

・自動運転の普及は物流の「2024年問題」への対策でもある。
 24年4月からトラック運転手は年960時間の時間外労働の上限規制ができ、連続運転も4時間以内になる。
 人手を確保できず輸送量が減れば、日本経済の足かせになる。
 運転手が走行中に休めれば労働規制を守りつつ輸送効率を保てる可能性がある。

・企業向けの電力供給を巡る大手電力のカルテル問題で、公正取引委員会は30日、
 中国電力 <9504> [終値681円]、中部電力 <9502> [終値1397円]、九州電力 <9508> [終値754円]の3社などに
 独占禁止法違反(不当な取引制限)で総額1010億円の課徴金納付を命じた。
 1977年の制度開始以来、最高額。
 企業活動に不可欠なインフラで幹部同士が「相互不可侵」の協定に合意し、電力自由化政策を骨抜きにした悪質性を重くみた。
 巨額の負担を課し、公正な競争の阻害に強く警鐘を鳴らした。
 公取委は各社に再発防止策を求める排除措置命令も出した。
 課徴金減免(リーニエンシー)制度に基づいて最初に不正を申告した関西電力 <9503> [終値1290円]は処分を免れた。

・Next World フェアネスを問う(5)分断超す理念、試される民 国が産業競争を主導すれど
 「ポケットの中のスパイ」。
 中国発の動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」運営会社の
 周受資最高経営責任者(CEO)を米連邦議会に招いた23日の公聴会。
 議員の発言は中国流への警戒にあふれていた。
 議会の焦りをあざ笑うかのように、米国でティックトックの拡大は続く。
 利用者は足元で1億5000万人を超え、2020年8月の1.5倍。
 浸透するから余計に警戒を呼ぶ。
 皮肉な連鎖が起きている。

・Next World フェアネスを問う(5)分断超す理念、試される民 国が産業競争を主導すれど
 調査会社データ・アイによると米国の直近30日の買い物アプリのダウンロード数は
 中国発の低価格品の電子商取引(EC)アプリ「Temu(ティームー)」が首位。
 2位は同じく中国を発祥とするファッションECであるSHEIN(シーイン)。
 安くて便利な商品を手に入れたい。
 豊かさを求める人々の欲求は、覇権争いで角突き合わせる米中の国境も越す。
 人為でふさぎようのない融合の奔流。安さを売りにした中国の攻勢は、
 自由主義で世界を席巻した米産業の「勝利の方程式」をかすませる。
 国と国の対立や友好国の囲い込みといった足元の動きは、
 かつて大戦の入り口になったブロック経済圏につながりかねない危うさもはらむ。
 政府と一体になればなるほど、民もその危うさから逃れられなくなる。
 扱うビジネス、掲げたストーリーはフェアネス(公正さ)を満たすか。
 利便を超えた理念が企業の未来を左右し、「Next World」を導く。

・東京大学が自主財源の拡大に向けて積極的な資産運用にかじを切る。
 未公開企業の株式や不動産などリスクが大きい分、
 より高い利回りを狙うオルタナティブ(代替)資産への配分比率を6割と現状の2割から高める。
 国際競争力を高めるために必要な研究活動などに使う資金を増やす。
 競争力を高めるには自主財源充実が欠かせない。
 米国では大学運営を支える基金の存在感が大きい。
 代替資産投資に積極的で、運用総額が約410億ドル(約5兆4000億円)と
 世界有数のエール大学の基金は7割程度を振り向けている。

・真相深層クレディ救済へ異例の憲法解釈 銀行規制に穴 揺らぐ経営、数値基準に限界
 信用の揺らいだ銀行の救済は是か非か。
 米国のシリコンバレーバンクが破綻すると、1万キロメートル離れたクレディ・スイス・グループに信用不安が広がった。
 究極の選択を突きつけられた米欧の金融当局は相次いで「救済」カードを切った。
 リーマン・ショック後に強化したはずの金融規制の在り方が問われている。
 UBSによるクレディ・スイス買収が発表されたこの日、スイス政府は緊急法令を制定。
 スイス国立銀行(中央銀行)が流動性を供給し、スイス連邦金融市場監督機構(FINMA)が経営統合をお膳立てした。
 2.2兆円のAT1債を無価値にすることを命じたのもスイス政府。
 声明は今回の措置が国を挙げた救済劇であることを明確にした。

・真相深層クレディ救済へ異例の憲法解釈 銀行規制に穴 揺らぐ経営、数値基準に限界
 公的関与の救済劇が映すのが、2008年のリーマン・ショック後のバーゼル3と呼ばれる規制の枠組みが完全ではなかったという事実だ。
 金融危機後、巨大金融機関には「Too Big To Fail(TBTF)」原則が適用された。
 潰せないほど大きな銀行には債務超過転落のリスクを排除するため、自己資本や流動性などで特に厳しい規制が課された。
 「世界の金融システム上で重要な銀行(G-SIB)」にクレディ・スイスも指定された。

・真相深層クレディ救済へ異例の憲法解釈 銀行規制に穴 揺らぐ経営、数値基準に限界
 銀行の財務諸表だけでなく、将来のリスクを対話を通じて探っていく。
 重箱の隅をつつくのではなく、銀行経営の実質、全体を見極めていくという考え方が根底にある。
 クレディ・スイスの経営の実態をスイス当局は把握していたのか。
 今回の問題を単純な規制強化に結びつけても危機の再発は防げない。
 過剰規制などの「当局の失敗」を避けるためにも、対話を重視した金融規制の在り方は解になり得る。

・みずほFG <8411> [終値1876.0円]とLINEが開業を目指していた新銀行「LINEバンク」の中止を決めた。
 構想の発表から撤退を判断するまで4年以上。
 ネット銀行やスマホ決済を巡る競争環境は激しく変わった。
 システムベンダーの乗り換えやZホールディングス <4689> [終値369.2円]とLINEの経営統合といった誤算も重なり、
 開業断念に追い込まれた。
 みずほは出資した楽天証券 <4755> [終値円614]を通じた若年層の開拓などに注力。
 4年の反省を総括してデジタル戦略を早急に練り直す必要がある。

・東京証券取引所は、PBR(株価純資産倍率)が1倍を下回る上場企業に対し、
 株価水準を引き上げるための具体策の開示を求める。
 直近で1倍割れは約1800社ある。企業に資本コストや株価を意識した経営を定着させる狙いがある。
 東証プライム市場と同スタンダード市場に上場する全約3300社に対し、資本コストや市場での評価を認識するよう要請。
 特にPBRが1倍を下回る場合には、1倍を下回る要因の分析、改善のための具体策の開示といった十分な対応を求める。
 早ければ31日にも企業に通達する。
 開示は任意で形式などは問わない。
 今回の要請に応じない企業への罰則はないが、企業の経営者に意識改革を促す。

・迫真 SONY <6758> [終値11735円]新生第3幕(4) ソニー出る覚悟あるか
 2022年8月1日、愛知県常滑市。ソニーグループ副社長兼最高財務責任者(CFO)の十時裕樹は炎天下の中、
 創業者の一人、盛田昭夫の墓前で手を合わせていた。
 7月に会長兼社長の吉田憲一郎から社長就任を打診されたばかり。
 創業者の理念に思いをはせる時間だった。
 十時はソニーGが時価総額30兆円を目指す新生第3幕の姿を、
 「様々な属性をもった人材が集まり未来を共創する場」と定義する。
 井深大と盛田昭夫が目指した「自由闊達で愉快なる理想工場」を再現する挑戦が始まる。

・スーパーでの日用品販売が落ち込んでいる。
 メーカーの値上げを受けてトイレ紙や文具など主要57品目の店頭価格は8割にあたる46品目で1年前より上昇。
 一方で値上がりした品目の8割で販売数量が減少。
 消費者が節約志向を強めるなか、割安なプライベートブランド(PB)にシフトする動きもある。
 原材料の価格転嫁と販売増を両立させる難しさが浮き彫りになった。
 原材料高が長引き、今後も日用品の値上げが続く見通し。
 食品に続いて日用品の値上げが進めば、個人消費が冷え込む可能性もある。

・公正取引委員会が30日、中国電力 <9504> [終値681円]、中部電力 <9502> [終値1397円]、
 九州電力 <9508> [終値754円]に計1010億円の課徴金納付命令を出した。
 過去最高額の処分からは自社の利益を優先し、自由化政策の基となる市場競争に背を向ける姿勢が浮かぶ。
 中部電が同日、取り消しを求めて提訴すると発表しており、今後は「合意形成」の有無が焦点になる。
 公取委は電事連会長に会員への注意喚起を求めており、信頼回復や再発防止は業界を挙げた取り組みが欠かせない。

・フィンランドの北大西洋条約機構(NATO)加盟が確定する。
 トルコ議会が30日に加盟を承認する見通しで、全30の加盟国の批准手続きが完了する。
 フィンランドはロシアのウクライナ侵攻を受けて長年の中立政策を転換する。

・政府は4月上旬にも中国からの入国者を対象とする新型コロナウイルスの水際対策を緩和する。
 ワクチン接種が3回以上であれば、現在は中国から入る全員に義務付けている出国前72時間以内の陰性証明を不要にする。

・自民党は30日、文章などを自動生成する人工知能(AI)に関する提言案をとりまとめた。
 冒頭で米オープンAIの対話AI「ChatGPT(チャットGPT)」の登場に触れ
 「新たな経済成長の起爆剤となりうる」と記した。
 対話AIは人間が質問などを投げかけると自動で文章を生成し巧みに返答する性能を備える。
 行政が国会答弁の下書きなどで試験的に使うなど「国による徹底した利活用」を求めた。
 人権侵害や安全保障上のリスクに対応する法規制の検討も盛り込んだ。
 「行政分野での徹底したAIの利活用は行政サービスの質向上と効率化の観点から計り知れない社会的便益をもたらしうる」と指摘した。

・英国が環太平洋経済連携協定(TPP)に加盟する見通しになった。
 加盟する11カ国が31日、閣僚会合を開き合意する。
 英国が加わることで、アジアや米国大陸中心だった枠組みが欧州にも広がる。
 世界全体の国内総生産(GDP)に占める割合は15%に増える。
 投資やサービス、貿易など高い水準のルールを特徴とする自由貿易圏の拡大に弾みがつく。

・総務省は30日、通信障害の発生時に他社の通信網に自動接続するローミングに関する検討会を開いた。
 2025年度末にも一般通話やデータ通信も含めたフル方式のローミングを導入する計画を示した。
 警察や消防への緊急通報の発信のみを可能にする限定方式も「早期に導入する」とし、具体的な検討を進める。
 6月にも中間報告書をまとめる。
 22年のKDDI <9433> [終値4078円]の大規模通信障害など通信障害が頻発しており、
 緊急時の通信手段確保が重みを増している。
 限定方式も早期の実現を目指す方針で一致した。
 限定方式は警察や消防への緊急発信に限るため、一般通話ができないなどの課題があるものの、
 中核ネットワークに問題が生じても利用が可能、すでに米国・フィンランドで導入されている。

・新型コロナウイルス禍で広がった地銀の支援策が相次ぎ縮小する。
 地銀に約2千億円を支払う日銀の特別当座預金制度が3月末で終了する。
 貸し出しを増やした銀行への支援もなくなり、実質無利子・無担保融資の返済も本格化する。
 米国では地銀破綻が相次ぎ、日本の金融監督も危機対応モードに移りつつある。
 金融秩序の維持に向け、地銀の再編が一段と進む可能性が出てきた。

・新興国株の出遅れが目立っている。
 新興国株全体の動きを示す株価指数は2022年末比で2.5%高にとどまり、5.3%高の先進国株に見劣りする。
 年初には新興国株の優位を予想する声が多かったが、
 中国とインドの経済成長が期待を下回ったほか、米欧金融の動揺で市場の安全志向が強まった。
 世界景気の下振れ懸念が強まれば、大幅な調整につながるリスクもある。
 過去を振り返ると、新興国株は世界的な金融危機の前兆となった07年の「パリバ・ショック」時にも上昇を続けていた。
 08年に入ると一転して先進国株よりも売り込まれた。
 今回も新興国株への楽観論が根強いだけに、
 金融不安が急拡大した場合や世界経済の下振れ懸念が強まった場合に売り込まれる可能性もある。

・ロシアの軍事産業に「関する国家機密を米国の指示で不正取得しようとしたとして、
 露治安機関「連邦議会議事堂保安局(FSB)」30日、スパイ活動容疑で、
 米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)モスクワ特派員、エワン・ゲルシュコビチ記者を
 露中部エカテリンブルクで拘束し、刑事訴追手続き開始へ。
 WSJは30日「FSBの主張を強く否定する。即時解放求める」との声明発表。

・経営危機に陥ったスイスの金融大手クレディ・スイスを同業のUBSが救済する過程で、
 クレディが発行した「AT1債」と呼ばれる社債の価値がゼロとなり、金融市場に衝撃が広がっている。
 銀行経営を不安視した投資家が欧州金融機関のAT1債を一斉に手放し、利回りが急騰(債券価格は急落)。
 邦銀への影響は限定的とみられるが、新たな信用不安の火種に日本でも警戒がくすぶる。
 市場ではリスクが十分認識されていなかったこともあり、一部で訴訟を検討する動きも出ているという。
 ある銀行の幹部は「投資家の間に買い控えの心理が広がってしまう。
 今後間違いなくAT1債は発行しづらくなる」と語り、資金調達がしづらくなる可能性を危惧も。



Posted by 占い ザ・ハーミット at 12:49│Comments(0)
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