日経 5月2日
2023年05月02日
2023年5月2日(火)
・米連邦預金保険公社(FDIC)は5/1、
米地銀ファースト・リパブリック・バンク(FRC)が経営破綻し、公的管理下に置いたと発表。
米銀最大手JPモルガン・チェースがFRCのすべての預金と資産を買収するとも発表。
3月のシリコンバレーバンク(SVB)の破綻後、財務が脆弱だったFRCの預金も急減し、信用不安が広がっていた。
米国では2カ月足らずで3つの銀行が破綻した。
破綻の連鎖に歯止めをかけられるかが焦点になる。
・米地銀ファースト・リパブリック・バンク(FRC)が経営破綻。
JPモルガンはFRCの1730億ドル(約23兆7000億円)の貸出債権、
300億ドルの証券、920億ドルの預金を引き取る。
買収代金としてFDICに106億ドル支払う。
FRCが米国に持つ84支店はJPモルガンの支店として5/1に営業を再開する予定。
・ファースト・リパブリック・バンク(FRC)の資産規模は2022年末時点で全米14位だった。
23年4/13時点の総資産は2291億ドル。
破綻した米銀の資産規模としては3月のSVBを上回り、
リーマン危機時の2008年秋に破綻したワシントン・ミューチュアル(約3070億ドル)に次ぐ過去2番目の大きさ。
FRCは富裕層向け事業を軸に業容を急拡大していた。
1口座あたり25万ドルまでの預金保険の対象外となる大口預金比率は
昨年末時点で全体の7割弱と、約9割のSVBに次ぐ高い水準だった。
・JPモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は5/1、
「銀行システムを安定させることができたのは良いことだ」とFRC買収の意義を強調。
地銀からの預金の流出は「ほぼ終わった」との認識も示した。
・核と向き合う(2)中国、情報開示なき軍拡 不信が招く衝突リスク
中国の習近平国家主席が3月下旬にロシアを訪問した際、公表しなかった合意事項がある。
核兵器の原料となるプルトニウムを生産できる高速増殖炉の新プロジェクトについて
両国の原子力当局が署名した協力文書だ。
中国が持つ核弾頭数は400超とみられている。
5000を超える米国やロシアに比べて少ないのはプルトニウムなどの核物質に限りがあるのが一因とされる。
ロシアと組み高速増殖炉の開発や運用が進めば核戦力を増強しやすくなる。
国営新華社など中国側は高速増殖炉の合意を表に出していない。
これまで保有核兵器を最小限にすると強調してきた核戦略の方針変換と受け止められるのを避けた可能性がある。
能ある鷹(たか)は爪を隠すとばかりに目立たず力を蓄えようとするのは中国の常とう手段。
核の運用についても例外ではない。
5月のG7首脳会議(広島サミット)はインドやブラジルなど「グローバルサウス」と呼ばれる新興国も招く。
これらの国からも賛同を得て、結束して中国に情報開示を迫るのが議長国である日本の責務となる。
・三菱商事 <8058> [終値5050円]三菱UFJ銀行 <8306> [終値869.3円]などと共同で、
国内最大規模の脱炭素ファンドを立ち上げる。
浮体式洋上風力発電や再生航空燃料(SAF)などで
有望な技術を持つスタートアップ企業に計10億ドル(約1350億円)を投資する。
出資先は欧米勢が中心になる見通し。
三菱商事のネットワークを生かし、出資先と日本やアジア企業との事業連携にもつなげる。
脱炭素の機運に弾みがつきそうだ。
三菱商事は30年度までに脱炭素関連で2兆円を投資する方針。
多額の投資で商機が広がる脱炭素で主導権を握りたい考えだ。
・5/1の東京株式市場で日経平均株価が3日続伸し、
前週末比266円74銭(0.9%)高の2万9123円18銭で取引を終えた。
終値で2万9000円を超えるのは2022年8/17日以来8カ月半ぶり。
円相場が一時1カ月半ぶりの円安水準に下落し、輸出関連株に業績改善を見込んだ買いが集まった。
・世界の製薬業界でM&A(合併・買収)が活発化してきた。
アステラス製薬 <4503> [終値2093.0円]5/1、
米バイオ医薬品企業のアイベリック・バイオを約59億ドル(約8000億円)で買収発表。
同社の買収では過去最高額となり、眼科領域で大型の新薬候補を獲得する。
新型コロナウイルス下では医療機関が一時逼迫し、新型コロナ以外の新薬開発にも影響した。
感染状況が落ち着き、新薬候補を奪い合う構図が鮮明になっている。
・アステラス製薬 <4503> [終値2093.0円]が買収する米アイベリック・バイオは、
2007年設立のバイオスタートアップで、眼科領域に特化している。
老化などによって視力低下や失明を引き起こす難病「加齢黄斑変性」に対する核酸医薬品「ACP」を開発中。
アステラスはACPが年間売上高10億ドルを超える大型薬「ブロックバスター」になると期待する。
イクスタンジの23年3月期の売上高は約6600億円。
連結売上高の4割強を占めるが、27年ごろから特許切れを迎える。
医薬品は特許が切れるとすぐに後発薬が登場し、収益が激減する。
この減収分を補うため、実用化間近の医薬品を巨額資金で買収することに決めたとみられる。
・世界経済はロシアによるウクライナ侵攻や原材料高、各国での金利上昇などで不安定な状況が続くものの、
製薬業界では新薬候補を獲得するために積極的に買収対象を模索する動きがみられる。
「コロナが収まり、資金体力を取り戻したバイオベンチャーの価格が高騰している。
有力な会社は奪い合いになっている」(市場関係者)との声もある。
経済活動が正常化に向かい、M&Aが今後も活発化する見通し。
・ロシアの支配地域奪回を狙うウクライナの大規模な反転攻勢が5月にも始まりそうだ。
欧米諸国は230両の戦車など供与予定の戦闘車両のほぼ全てをウクライナに引き渡した。
ロシアは塹壕(ざんごう)など1000キロメートルを超える防衛線を築き支配地の維持を目指す。
反攻の成否は西側と中ロなど権威主義陣営の勢力争いの行方も左右する。
ウクライナ側の不安要素は空軍の戦闘力。
空軍機の保有数で優位にあるロシア軍は、
年明けからウクライナ軍の防空射程外の爆撃機から発射する「誘導爆弾」を本格導入した。
ウクライナ軍の前線で大きな被害が出ているとみられる。
ロシアは4/28、首都キーウ(キエフ)などに大規模ミサイル攻撃を実施。
キーウへの攻撃は約50日ぶり。
キーウ南方の都市ウマニでは集合住宅などに着弾し、少なくとも23人が死亡した。
・岸田文雄首相は5/7~8の日程で韓国を訪れる最終調整に入った。
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と会談し、
北朝鮮の核・ミサイル開発への対応や経済安全保障を巡る協力策を議論する方針。
3月に東京で開いた首脳会談から間を置かずに訪韓し、日韓関係を前に進める。
米韓は4/26の首脳会談で、米国が核を含む戦力で同盟国を守る拡大抑止の強化を盛り込んだ
「ワシントン宣言」を採択。
バイデン氏は共同記者会見で、
北朝鮮が核を使えば「いかなる政権でも終焉(しゅうえん)につながる」と明言した。
・報道各社の4月の世論調査で岸田文雄内閣の支持率が上昇し、軒並み支持が不支持を上回った。
首相による3月のウクライナのキーウ(キエフ)訪問などが要因とみられる。
4/23投開票の衆参両院の5補欠選挙では自民党が4勝。
補選後の調査も政権を一定程度評価する結果となった。
日経新聞社の4/28~30の世論調査で
内閣支持率は52%と前回の3月調査から4ポイント上昇、不支持率は40%。
読売新聞(支持率47%、不支持率37%)、産経新聞(支持率50.7%、不支持率44.7%)、
共同通信(支持率46.6%、不支持率35.5%)の4月調査でいずれも支持率が上向き、不支持率と逆転した。
・働く高齢者の賃金が貯蓄に回っている。
総務省によると65歳以上の勤労者世帯(2人以上)が
2022年に貯蓄に回した額は月平均11万円と、10年前の3倍超になった。
金融資産は60歳以上が全体の6割超にあたる1200兆円を抱える。
高齢者に消費や世代間の移転を促す施策が欠かせない。
パートやアルバイトで働く配偶者が増えるなどして世帯収入が増えているようだ。
・内閣府が5/1発表した4月の消費動向調査によると、
消費者心理を表す消費者態度指数(2人以上の世帯、季節調整値)は前月比1.5ポイント上昇の35.4に。
上昇は2カ月連続。
消費者心理の基調判断は「持ち直しの動きがみられる」から「持ち直している」に上方修正した。
調査期間は4/7~20。基調判断の上方修正は2カ月連続となる。
「持ち直している」とするのは2017年12月以来、5年4カ月ぶり。
指数を構成する4項目すべてが上向いたのは2カ月連続。
物価の見通し調査では、1年後の物価が「上昇する」と答えた2人以上の世帯は前月より0.9ポイント低い93.2%。
9割を上回るのは15カ月連続となる。
・米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のマイケル・パンク副社長(グローバル公共政策担当)
日経新聞のインタビューで、人工知能(AI)に「過度に広範な規制を導入すべきではない」と述べた。
規制を導入する際は各国が連携してその内容を調整するよう求めた。
AWSは米アマゾン・ドット・コムのクラウド部門で、Chat(チャット)GPTに続き、
自社でも生成AIサービスを顧客向けに提供することを明らかにしている。
具体的なAIのリスクを特定する際には企業と話し合い「民間側の視点を持ち込むことが重要だ」と強調。
・デンソー <> [終値円]と村田製作所 <> [終値円]、どちらが稼ぐ会社か。
自動車部品と電子部品のトップ企業を先週発表になった2023年3月期の連結営業利益で比べてみた。
同じ部品とはいえ車と電子が比較されることはあまりなかったが、電気自動車(EV)が普及し、
自動運転や電動化など「CASE」と呼ばれる技術の時代が本格的に到来すれば、それも当たり前になるかもしれない。
23年3月期はIT(情報技術)産業の低調もあって、米アップルなどと取引が多い村田をデンソーが4年ぶりに逆転。
もっとも、長期的にみると「車」は「電子」に侵食される可能性がある。
EVの普及とともに押し寄せるCASEとは、要は電子化の大波だ。だが、大波の発生源が車体構造の変化だけとは限らない。
「エンジンはエンジンでも、ゲームエンジンを積むことになる」。
ソニー・ホンダモビリティ <6758> [終値12595円]の川西泉社長兼最高執行責任者(COO)から聞いた。
ゲームエンジンとは、実写や手書きのアニメを使わずに、
仮想空間に現実顔負けの世界を瞬時に再現するCG(コンピューターグラフィックス)技術を指す。
・車向けのソフトウエアビジネスで成功している企業は現在、米テスラくらい。
自動運転機能(安全支援機能)を有料でアップデート(更新)するサービスをしている。
そうした分野にもこの先、裾野の広い娯楽産業としてのデジタルサービスが割り込む。
自動車の価値や収益源はハードウエアだけではなくなり、
コンテンツのプログラマーやクリエーターという新たな供給者が存在感を増す。
映画などのコンテンツを売るソニー <6758> [終値12595円]
すでに「MAU(月間利用者数)」という尺度をKPI(評価指標)の一つにしているが、
ソフトウエアやネットワーク産業には「ARPU(利用者の平均単価)」などの指標を重んじる企業もある。
それらはいずれ、自動車産業でも重要な尺度になるだろう。
突き詰めれば、「有形資産型の会社」対「無形資産型の会社」という構図が車産業に生まれる可能性がある。
日本でいえば、前者はトヨタ <7203> [終値1874.0円]、
後者はソニー、ないしソニー・ホンダ <7267> [終値3621.0円]モビリティが代表的存在になる。
・QUICK・ファクトセットによれば、もとはハードウエア主体のソニー <6758> [終値12595円]でも
有形資産と無形資産(のれん含む)の規模は12年3月期に逆転した。
ゲームや音楽、映画のコンテンツ資産を増やす一方、
エピックゲームズなど知的財産の多い企業への投資を積極的に進めた結果を表している。
IT革命後に消費者を最も引きつけるようになったのは、「消費者余剰と呼ばれる無形の価値だ」と指摘も。
「どうしてもほしい」「使ってみたい」「お得だ」と思わせるソフトウエアサービス的な要素だという。
新車の販売台数だけでは測れない稼ぎ方を築いてこそ、EV時代の勝者ということだろう。
・大手証券会社の業績悪化傾向が鮮明に。
4月末に出そろった5社合計の2023年3月期の純利益は1681億円と前の期比5割減り、
過去10年で2番目に低い水準だった。
金利上昇など金融市場の混乱を受け、株取引や企業の資金調達が落ち込んだ。
相場に左右される収益構造から抜け出せず、市場からも厳しい評価をつきつけられている。
直近ピークの17年3月期に比べると7割低い。
5社中3社が減益で、SMBC日興証券は最終赤字に転落。
増益だったのは前の期に米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントとみられる取引で計上した損失がなくなった
三菱UFJ証券ホールディングスのみ。
・ソフトバンクグループ(SBG)<9984> [終値5163円]傘下の英半導体設計大手アームが
米国市場での新規株式公開(IPO)を申請。
上場が実現すればアームはSBGにとり中国・アリババ集団に代わる主要資産となり、
資金調達手段の多様化などにつながる可能性がある。
かねて浮上しているMBO(経営陣が参加する買収)観測も現実味が増す。
アーム上場が実現すれば、孫氏の努力の成果が一つ実ることになる。
一方、MBOにはハードルも残る。まず財務負担。
事業の持続性の観点から、MBOには一部のメガバンクのほか、社内からも慎重な声が上がる。
もう一つが投資家同士の利益相反問題。
株式投資家はMBOが実現すれば一定のプレミアム(上乗せ価格)を得たうえで退出できるが、社債投資家は残る。
SBGが発行する社債は22年末時点で約5兆7000億円。
SBGは国内最大の発行会社で、社債市場への影響も無視できない。
新規投資をほぼ停止して事実上冬眠していたSBGは再び市場の評価と向き合うことになる。
・デジタル証券の発行を支援する米セキュリタイズは、
非代替性トークン(NFT)の売買サービスを運営するSBINFT(東京・港)と業務提携。
企業がデジタル証券を発行する際に個人投資家に対して特典NFTを発行できるサービスを共同開発する。
企業は投資家に金銭的なリターン以外の選択肢を用意することができるようになる。
・先進国の政策金利の引き上げが2023年後半にも停止するとの予想が、短期金融市場で広がっている。
米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)など主要な中銀5行で
23年末までに利上げの打ち止めを想定する。
急速な利上げで景気後退への懸念が出ているうえ、
預金流出や保有債券の含み損などで金融機関の経営にも不安が広がったためだ。
安全資産とされる金が買われるなど、市場は景気下振れへの警戒感を強めつつある。
金利先物市場や翌日物金利スワップ(OIS)の動きから、
市場が織り込む中央銀行の将来の利上げ幅を野村証券 <8604> [終値489.6円]が分析。
米国は5月の連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げ幅が0.21%と、
市場参加者の8割以上が0.25%の利上げを見込む。
6月以降はほぼ想定されず「早ければ年後半に利下げに転じるとの見方も出ている」
根強い物価上昇が続く欧州もユーロ圏、英国ともに年末までに利上げが止まるとの見立て。
・米株式市場では金利上昇の逆風を受けてきたハイテク株に、マネーが戻っている。
IT(情報技術)関連の構成比率が高いナスダック総合指数は1~4月の上昇率が17%と、
S&P500種株価指数の9%を上回った。
利上げの減速や停止は、インフレ再燃リスクを伴う。
SMBC日興証券によると、国内総生産(GDP)で加重平均した世界のインフレ率は3月は8%程度。
政策金利は6%程度と、実質ベースでマイナス圏に沈む緩和的な金融環境だ。
インフレの放置は、利上げとは別の経路で景気を減速させる要因になる。
消費者の可処分所得が減り購買意欲をそぐ。
コストの高止まりを警戒した企業が、成長につながる設備投資に消極的になる可能性もある。
金融政策のかじ取りは難度を増しそうだ。
・個人投資家調査(上) 外貨資産「増やした」4割 20~30代、日本より米国株
日本人の株式投資に対する意識が変わり始めている。
つみたてNISA(少額投資非課税制度)の導入などをきっかけに、少ない資金をコツコツ積み上げる個人が増えている。
その担い手は将来に不安を抱く若者たち。
投資先は彼らにも身近なアップルなど著名な米企業株や米国の代表的な上場投資信託(ETF)が中心。
新たな動きは改革のスピードが遅い日本企業や東京市場の問題も映している。
なぜ海外株に投資するのか。
20代、30代ともに理由(複数回答)のトップは「外国企業の方が日本企業よりも期待リターンが高いから」だった。
アンケートでも、海外株の魅力として「(市場の)経済成長力が大きい」が44%、
「利益や配当の成長率が高い」が41%と上位を占めた。
ただ今後、投資配分を増やしたい金融資産では日本株が41%と首位。
20代、30代では米国株がそれぞれ40%とトップだったものの、日本株も31%、40%と続いた。
理由の一つは日本株の割安な水準にある。
日本株を保有する理由として「割安感が高まったから」が、20代は36%と首位だった。
日本の未来を不安視する若者らの資産形成への関心は高い。
マネーを供給する投資家予備軍を日本株に引きつけられるのか。
市場改革が果たすべき責任は重い。
・円安が加速、5/1の外国為替市場で円は対ドルで下落し、一時1ドル=136円90銭台を付ける場面も。
3/10以来、2カ月ぶりの円安・ドル高水準となる。
日銀 <8301> [終値24950円]が金融緩和を続ける方針を示し、主要通貨に対し円を売る動きが広がった。
円相場は対ユーロで14年8カ月ぶり、対ポンドも7年3カ月ぶりの安値を付けた。
円は日銀が金融政策の結果を公表する前は対ドルで133円台を付ける場面があり、
4円ほど円安・ドル高方向に振れている。
・・食品などの急激な値上げに変化の兆し。
値上げ品目はまだ昨年を上回るペースで増えてはいるが、
一部で原材料価格下落や消費者の値上げ疲れに配慮し値下げに踏み切る動きもある。
競合他社との差別化に向けた価格戦略が戻り始めたとの指摘もある。
Posted by 占い ザ・ハーミット at 12:42│Comments(0)