日経 5月26日

日経 5月26日



2023年5月26日(金)

・岸田文雄首相は5/25、日経フォーラム第28回「アジアの未来」の晩さん会で演説。
 アジアの各国・地域と対等な関係に立ち「手を取り合って未来を共に創っていく」と提唱。
 多様な価値観や文化を受け入れたうえで協力を推進する日本ならではのアプローチを強調した。
 先の主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)の首脳宣言が
 中国との「デカップリング(分断)」ではなく「デリスキング(リスク低減)」を志向する方針を示したことに沿った立場といえる。
 アジアとの具体的な協力分野はデジタルや脱炭素などに重点を置いた。
 脆弱な金融インフラや貧富の差のような問題を解決する取り組みがイノベーションの源泉になると指摘。
 「社会課題を成長のエンジンに転換できれば無限の可能性を持つ」と語った。

・岸田文雄首相は米国が主導する新経済圏構想
 「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」には「アジアと米国の橋渡しをする」と述べた。
 日本がめざす「自由で開かれたインド太平洋」の実現には
 「価値観を一方的に押しつけない、特定の国を排除しない、といった考え方を共有し実践していくことが重要だ」と説明。
 広島サミットは「世界が直面する課題に正面から向き合った」と振り返った。
 (1)法の支配に基づく国際秩序の強化
 (2)グローバルサウスと呼ばれる新興・途上国との関与強化
 (3)核不使用のメッセージ発信――という3つの意義があったと話した。

・政府が2024年度から取り組む少子化対策の施策と財源案が分かった。
 施策は児童手当の拡充や保育サービスの充実を柱とする。
 事業費として年3兆円が必要と見込み、財源は1.1兆円を社会保障の改革、0.9兆円を消費税収などから捻出する。
 巨額の財源確保には、医療や介護の大きな見直しが必要になる。
 課題は社会保障の改革。
 最初の焦点は年末の予算編成過程で決まる24年度の医療・介護の報酬改定となる。
 医療サービスの対価である報酬の本体部分は、物価高や賃上げを反映して業界がプラス改定を求めている。

・経済産業省は2030年から、日本の空港で国際線に給油する燃料の1割を
 再生航空燃料(SAF)にすることを石油元売りに義務付ける。
 航空機は電動化が難しく、脱炭素に向け植物や廃油からつくるSAFの利用が広がる。
 世界でも供給量は燃料消費の0.03%で、国産化支援など調達が課題になる。
 課題は調達とコスト低減。
 SAFは価格がジェット燃料の2~5倍とまだ高い。
 世界全体の20年のSAFの供給量は年6万キロリットルと、ジェット燃料の0.03%程度しかない。
 三菱商事 <8058> [終値5639円]とENEOSHD <5020> [終値479.1円]
 27年にも年数十万キロリットルの供給網を国内でつくることを目指している。
 IHI <7013> [終値3335円]やユーグレナ <2931> [終値857円]、
 ホンダ <7267> [終値3995円]も藻を使ったSAFを開発している。

・日銀 <8301> [終値24290円]の植田和男総裁は5/25、
 日本経済新聞などのインタビューで歴史的な物価高が「国民全員にはかなり大きな負担になっている」との認識を示した。
 政府・日銀が掲げる物価目標には「持続的・安定的(な達成)には届いていない」として、
 大規模な金融緩和を継続する姿勢を強調した。

・セブン&アイ・HD <3382> [終値6300円]5/25開いた株主総会で、
 同社が提案する井阪隆一社長ら5人の取締役選任案が可決された。
 対立する米ファンドの提案は退けられたが、海外企業に比べて投資効率は見劣りし、
 コングロマリット(複合企業)経営に不満はくすぶる。
 グループの成長にイトーヨーカ堂が欠かせない存在と示せるか。改革の真価が問われている。
 井阪氏は「3月に公表した中期経営計画を進め、持続的な成長を示していく」と強調する。

・南部フロリダ州のロン・デサンティス知事が5/24、2024年の大統領選に向けた共和党の候補指名争いに出馬を決めた。
 支持率ではトランプ前大統領に次ぐ位置につけ、前大統領の熱狂的な支持層を切り崩せるかが焦点に。
 保守層が好む政策を進める公算が大きく、米社会の分断に拍車がかかるリスクがある。
 デサンティス氏は5/24、ツイッターで起業家のイーロン・マスク氏と対談し「統治はエンターテインメントではない」と言明。
 首尾一貫しない政策決定が目立った前大統領を念頭に置くのは明白。
 大統領選は24年11月の本選に先立ち、民主党と共和党がそれぞれ候補者を1人に絞り込むための予備選を開く。
 全米各州で勝者を決める方式で、共和党は初戦となる中西部アイオワ州の党員集会を同1月にも実施する。
 共和党ではこれまで、デサンティス氏や前大統領のほか、ヘイリー元国連大使やティム・スコット上院議員、
 南部アーカンソー州のエイサ・ハチンソン元知事が出馬を表明している。

・日銀 <8301> [終値24290円]植田和男総裁は5/25のインタビューで金融緩和を続ける方針を改めて強調。
 物価の押し上げ要因は資源高からサービスなどに裾野が拡大。
 人手不足を背景に賃上げ継続の機運も高まっており、持続的・安定的に2%の物価目標を達成できるか見極めの段階に入った。
 一方、緩和継続を前提にした足元の株高も考慮せざるを得ず、植田総裁は難しい判断を迫られる。
 植田総裁が「経済に関する判断を誤らないようにしたい」と述べ、拙速な金融緩和の縮小と距離を置くのはこのためだ。
 緩和修正はマネーの逆回転を招き、日本経済を冷やしかねないリスクと背中合わせでもある。
 金融政策の正常化では企業や国の財政に「耐性」が備わっているかもカギになる。

・アジアの政治や経済について討議する日経フォーラム第28回「アジアの未来」が5/25都内で開幕し、
 経済安全保障を巡って緊張が高まる米中関係に各国の首脳や閣僚から懸念の声が相次いだ。
 アジアはグローバル化や貿易自由化を成長エンジンとしてきた。深まる分断の危機にどう対処するか、
 持続的な発展への道は試練にさらされている。
 デリスキング(リスク低減)を含むG7首脳宣言を議長国としてまとめた日本は、東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)、
 環太平洋経済連携協定(TPP)、インド太平洋経済枠組み(IPEF)のいずれにも深くかかわっている。
 アジアの声をくみ上げ、過度の分断を避けながら最適な供給網をどう再構築していくか。果たすべき役割は重い。

・東京電力 <9501> [終値486円]福島第1原子力発電所の処理水海洋放出計画をめぐり、
 現地視察した韓国の専門家視察団は5/25、日本での実質的な視察日程を終えた。
 韓国政府は視察結果に加え、国際原子力機関(IAEA)が6月までに公表する評価結果などを踏まえて、
 放出への立場を総合的に判断する方針。
 韓国では日本の処理水放出が近海でとれた水産物などに影響を与えるとの不安が根強い。
 韓国政府は福島第1原発事故が起きて以降、福島県など8県産の水産物の輸入禁止を続けている。
 金大統領秘書室長は処理水放出に対する判断は、水産物の禁輸解除とは「別問題だ」と強調している。

・政府は2028年度までにパートやアルバイトの人らへ雇用保険を拡大する。
 非正規の立場で働く人にも失業給付や育児休業給付を受け取れるようにし、安心して出産や子育てができる環境を整える。
 企業側は人件費が増え、人員配置の見直しなども迫られる。
 政府は雇用保険の拡大のほかにも少子化対策を打ち出すとしている。
 ただ企業が負担を嫌い、働く人への不利益をしない目配りも求められる。

・政府は5/25まとめた5月の月例経済報告で、国内の景気判断を「緩やかに回復している」に上方修正。
 「回復」の判断は、新型コロナウイルス禍前の2020年2月以来3年3カ月ぶり。
 個人消費の持ち直しを踏まえた。
 海外には減速リスクがある。賃上げの波及効果が景気持続のカギとなる。
 4月の判断は「一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している」だった。
 判断の上方修正は、22年7月以来10カ月ぶりとなる。
 コロナの感染症法上の「5類」への移行を踏まえ「ウィズコロナの下で」との表現を削除した。

・再生可能エネルギーなどクリーンエネルギー投資の拡大基調が続いている。
 国際エネルギー機関(IEA)が5/25公表した2023年の見通しでは
 クリーンエネ投資は世界全体で前年比7.7%増の約1.7兆ドル(約240兆円)を見込む。
 中国や欧州連合(EU)、米国がけん引する。
 IEAは太陽光や風力といった再生エネに加えて、電気自動車(EV)や原子力もクリーンエネと位置づける。
 23年は太陽光とEVが投資増の主な要因とみる。

・ドイツ連邦統計庁が25日発表した1-3月期の実質国内総生産(GDP)は改定値で前期比0.3%減。
 マイナス成長は2四半期連続で、機械的に景気後退とみなされるテクニカルリセッションに転落。
 ウクライナ危機に伴うインフレが個人消費などの重荷になり、ドイツ経済の弱さが浮き彫りになった。

・米連邦準備理事会(FRB)は5/24、5/2~3日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公表。
 インフレ持続で追加の利上げが必要になるとの意見が複数出た一方、利上げを停止できるとみる参加者も多く、見方が割れている。
 6月会合では利上げを見送りつつ、必要なら年後半に利上げを再開する「折衷案」も浮上してきた。
 公表された議事要旨によると、何人かの参加者は、物価上昇率を目標の2%に戻すまでの歩みが
 「受け入れがたいほど遅い状態が続きそうだ」と指摘した。
 そのうえで「今後の会合で追加の引き締めが正当化される可能性が高い」と主張した。
 一方、より多くの参加者は「さらなる引き締めは必要ないかもしれない」と表明した。
 追加利上げの慎重派は、過去1年ほどで計5%に達した利上げの効果が時間差で実体経済に波及するのを見極めたいとの考えに傾いている。
 追加利上げの必要性で意見が割れるFOMC参加者もインフレがまだ高すぎる水準で、
 利下げ転換は時期尚早との見方では一致している。
 インフレ退治の道半ばで金融政策の遂行が阻害されることへの警戒感は日増しに高まっている。

・三菱UFJFG <8306> [終値912.6円]円建て永久劣後債(AT1債)を3300億円発行する方針。
 投資家の需要が高まっており、当初検討していた1000億円規模から積み増した。
 表面利率など発行条件は26日に正式に決める。
 国債に対する上乗せ金利(スプレッド)は期間に応じ1.65~1.66%となる。
 金融大手クレディ・スイス・グループのAT1債が救済の過程で3月に無価値となり、
 高まった市場の警戒感は落ち着きを取り戻しつつある。

・検証3メガ銀決算(下)自社株買い見送り守り徹す 金融不安で戦略に転機
 市場環境の先行き不透明感を踏まえ、今回の決算では3メガバンクが自社株買いの実施を見送った。
 景気が変調すれば企業買収にあたって適正価格は下がる。
 資本に余裕を持たせる3メガバンクの運営は、いずれ訪れる好機への備えという側面もあるのかもしれない。

・米政府債務の上限引き上げ問題を巡り、政府資金が底をつく「Xデー」に対する金融市場の警戒感が高まってきた。
 代表的な株価指数のダウ工業株30種平均は5/24に4日続落。
 債券市場では6月に償還を迎える短期国債の利回りが急上昇(価格は急落)した。
 米バイデン政権と野党・共和党との協議は進まない。
 「時間切れ」を警戒した投資家はリスク回避の姿勢を強めている。
 債務上限問題に進展の兆しが出ない限り、格下げリスクが改めて市場で意識される可能性がある。

・海外投資家の日本株買いが続いている。
 東京証券取引所が5/25に発表した5月第3週(15~19日)の投資部門別売買動向によると、
 海外勢は現物株を7476億円の買い越しだった。
 前週に比べ32%増えた。日経平均株価が33年ぶりの高値更新をした5/19日まで、現物株は8週連続の買い越しとなった。
 業績や資本効率の改善などを手掛かりに、海外勢の物色が広がる。
 一方で国内投資家は、個人や機関投資家の売りが続く。海外と国内で、投資姿勢の違いが際立つ。
 海外勢の8週連続の買い越しは2017年6月以来約6年ぶり。
 日本株の大幅高につながった。8週間の買越総額は3兆6000億円と、13年12月以来の規模となった。
 個人はこれまで繰り返し上値を抑えられてきた相場に慣れており、日本株が上値を追う展開には懐疑的だ。
 投資信託などを通じて積み立てている資金も、これまでの成績が良かった米国株や世界株に流れている。
 個人の買い意欲を促すためには、企業業績の一段の改善などが不可欠になる。

・5/28に大統領選の決選投票が行われるトルコで為替相場の不透明感が強まっている。
 選挙前に通貨リラの下落を避けたい当局は為替介入や銀行への指導などで相場を支えるが外貨準備高は急減し、
 リラを支え続けられるかは見通しにくい。
 選挙後のリラ急落を予想する声も根強い。

・・岸田文雄首相掲げる「次元の異なる少子化対策」の原案、5/25判明。
 児童手当について、第3子以降への加算の対象を現行の「3歳~小学生」から「0歳~高校生」に広げ、支給額は月額3万円に倍増。

・2024年大統領選に向けた共和党候補者指名レースは、
 先行するトランプ前大統領とデサンティスフロリダ州知事の2人を軸に進むことが確実に。
 争いは、共通の支持基盤である保守層を奪い合う展開となる。



Posted by 占い ザ・ハーミット at 12:43│Comments(0)
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