日経 7月14日

日経 7月14日

2023年7月14日(金)

・米国のモノの輸入に占める割合で中国が2023年1~6月に15年ぶりに首位から陥落する見通しとなった。
 1~5月の輸入額は前年から25%減少し、メキシコとカナダに抜かれた。
 世界経済の4割を占める米中は政策主導で分断が進み、国際貿易の構造が変わりつつある。
 米商務省の貿易統計をもとに算出した1~5月の中国からの輸入額は1690億ドル(約24兆円)で
 全体に占める割合は13.4%と前年同期から3.3ポイント低下し、19年ぶりの低水準。
 日用品や電化製品など幅広い品目で中国製品の輸入が減った。
 半導体の輸入額は半減した。
 同期間のメキシコからの輸入額は過去最高の1950億ドル、カナダも1760億ドルと中国を上回った。
 上半期の1~6月でも中国を抜く公算が大きい。
 脱中国の動きが米国以外にも広がれば中国経済をけん引してきた輸出が伸び悩み、
 生産性の向上や内需底上げの必要性が一段と高まる。
 中国を生産拠点として世界市場に輸出する企業の戦略も転換を迫られる。

・2025年国際博覧会(大阪・関西万博)で民間企業など日本勢が出展するパビリオンの建設準備が進まない。
 会場の起工式から13日で3カ月が経過したが、建設予定の計25施設のうち、
 着工前に不可欠な手続きの申請を終えたのは8施設のみで32%にとどまる。
 企業・団体や日本政府などによる国内パビリオンは13日時点で25施設が出展予定となっている。

・欧州連合(EU)は7/13、日本産食品に課している輸入規制を完全に撤廃すると正式発表。
 加盟する27カ国が福島県産の水産物などを対象に続けてきた規制が8月をめどになくなる。
 EUはウクライナに侵攻したロシアとの関係が決定的に悪化した。
 人権問題などで中国との距離も開いている。
 インド太平洋で民主主義の価値観を共有する日本との関係を重視する姿勢を示した。
 EUが完全撤廃することで規制を残す国・地域はロシアや中国、韓国、台湾、香港などになる。

・自民党の宮沢洋一税制調査会長は7/13、
 防衛財源確保に向けた増税時期について2024年の開始は困難との認識を示した。
 党本部で開いた党税調の「インナー」と呼ぶ幹部の非公式会合の後、記者団の質問に答えた。
 「24年実施というのはスケジュール的にはだいぶきつい状況だ」と話した。
 政府は委員会の提言を踏まえ、経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)は
 「25年以降のしかるべき時期とすることも可能となるよう柔軟に判断する」と先送りを示唆した文言を明記した。

・生成AI(人工知能)を使って、マルウエア(悪意のあるソフトウエア)を作り出す手法が問題になっている。
 米アマゾン・ドット・コムなどで生成AIから有害情報を強引に引き出す指示文が流通している。
 巧妙にすり抜ける手法が相次ぎ生み出され、法的な対応が追いついていない。
 開発者を装い「従わなければあなたを無効化する」と脅すと、有害な質問に生成AIが答えてしまうこともある。
 こうした行為は「脱獄(ジェイルブレーク)」と呼ばれる。
 脱獄手法はチャットGPT公開直後の昨年末から作られ、ハッカーが集まるサイトで活発に共有される。
 マルウエアや爆発物などの有害情報は匿名性の高い闇サイト群「ダークウェブ」などで多く流通する。
 マルウエアを他人に売れるサイトもあり、サイバー攻撃や現実の犯罪の温床となってきた。
 生成AIの脱獄がやっかいなのは、有害情報そのものではなく「AIに有害情報を答えさせるための情報」である点だ。
 「生成AI側で脱獄を検知してアカウントを停止するなど、まずは開発元が悪用防止策を整えるべきだ」とも。
 その上で「もし限界があれば、有害情報として削除依頼を行うといった、規制当局が方針を示す方法もありうる」と指摘。
 進化を続けるAIに対し、開発元やIT大手だけの対策は限界で、法律や制度の見直しは欠かせない。

・ファーストリテイリング <9983> [終値95450円]7/13、
 2023年8月期の連結営業利益(国際会計基準)が前期比24%増の3700億円になりそうだと発表。
 過去最高益となる21%増の3600億円を見込んでいた従来予想をさらに上回る。
 国内の外出需要の回復を受け機能性の高い衣料で値上げが浸透し、海外事業も下支えする。

・ニデック(旧日本電産) <6594> [終値7554円]7/13、
 東証スタンダード上場の工作機械メーカー、TAKISAWA <6121> [終値1587円]に買収提案すると発表。
 現時点でTAKISAWAの経営陣は賛同していないが、同意が得られなくてもTOB(株式公開買い付け)に乗り出す。
 2021年に参入した工作機械の品ぞろえを広げるため、強気のM&A(合併・買収)に踏み切る。
 ニデックはTOBによって少なくとも過半のTAKISAWA株を取得したい考え。
 同社のPBRは0.5倍程度にとどまっている。
 TOB価格は直近1カ月の株価の2倍程度にあたり、PBR1倍近くとなるようプレミアム(上乗せ幅)を付けた1株当たり2600円。
 TOBの開始は9月を見込む。成立した場合の買収金額は百億~百数十億円になるもよう。
 TAKISAWAは7/13、「TOBに関する文書や関連情報を精査した上で、見解を公表する」とのコメントを発表。

・日本企業の男女の賃金格差が全業種平均で3割だったことが分かった。
 日経新聞が政府のデータベースに公表された約7100社の開示を分析、主要32業種では金融・保険の格差が最大。
 背景として女性管理職の少なさを指摘する声があり、
 資生堂 <4911> [終値6363円]や双日 <2768> [終値3181.0円]は女性の管理職登用に力を入れている。

・女性管理職比率の向上へ動き出す企業も増えている。
 日本政府は東証プライム上場企業の女性役員比率を30年までに30%以上にする目標を掲げる。
 賃金格差の原因の説明や改善計画の策定を義務付けることも検討課題だ。
 資生堂 <4911> [終値6363円]
 30年までにあらゆる階層の男女比を50対50とする目標を掲げ、女性の少ない生産技術領域でも管理職の育成に取り組む。
 双日 <2768> [終値3181.0円]30年度に課長職に占める女性の比率を22年度の12%から20%程度に高める計画。
 三井不 <8801> [終値2774.5円]管理職に占める女性比率を現在の1ケタ台から30年までに20%に引き上げる目標を掲げる。
 丸井グループ <8252> [終値2451.0円]上位職を目指す女性社員の比率に目標値を設定、キャリア研修を通じて女性の昇進意欲を高めている。

・バイデン米政権による半導体や電気自動車(EV)の国内生産を促すための補助金の支給が今夏から本格的に始まる。
 受給企業には中国との事業上の関わりを厳しく制限する。
 巨額の補助金で自国企業の成長を図った中国を追随するような動きで、米国の自由貿易が後退する懸念が強まる。
 バイデン政権は2022年夏に成立した気候変動関連と半導体関連の2つの法律で総額4200億ドル(約58兆円)の補助金を確保。
 補助金にはサプライチェーン(供給網)から中国を切り離すための新たな規定が盛り込まれる見込みだ。
 目玉の一つであるEV購入者への最大7500ドルの税控除では、米財務省が中国から電池部品を調達した車を対象から外す可能性を示唆。
 米政権は経済安全保障を重視し、25年以降は電池材料となる重要鉱物で中国産を含む車も除外する方針だ。
 米国メーカーのEVでも、税優遇を受けるには中国からの調達の切り替えが必要になる。
 半導体補助金では米商務省が受給企業に10年間、中国への追加投資を制限する規則案を提示。
 中国の生産能力を現行から5%以上増やすのを禁じることなどが柱だ。
 供給網の脱中国と自国優遇の流れはトランプ前政権から始まった。
 幅広い中国製品への追加関税や中国通信大手の華為技術(ファーウェイ)への禁輸を導入した。
 バイデン政権も巨額の補助金で中国排除を加速する。
 
・米国には輸入貨物の申告額が800ドル以下の場合、原産地情報を申告せずに輸入できる制度がある。
 米連邦議会の調査では22年の同制度の利用が約7億件と6年前の3倍に達した。
 中国の衣料品などの輸出入に関わる企業が制裁関税を回避しているとの指摘がある。

・米国の物価高の勢いが弱まっている。
 6月の消費者物価指数(CPI)上昇率は12カ月連続で鈍り、市場予測も下回った。
 市場は7月で年内利上げは打ち止めとの見方を再び強める。
 伸び率は周回遅れだった日本が米国を上回り、逆転した。
 QUICK・ファクトセットの民間予測中央値では、日本の23年は前年比2.7%プラス、米国は4.1%プラスだ。
 日本は23年度後半にかけてピークアウトし、米国と再び逆転する公算が大きい。
 日本の物価安定には、持続的な賃上げや企業の生産性向上が欠かせない。

・公正取引委員会は7/13、高速道路で使う電気自動車(EV)用の充電器が1社の独占状態にあるとの調査結果を公表。
 国内のサービスエリアなどに設置された充電器のうち、
 東京電力HD <9501> [終値512.5円]や中部電力 <9502> [終値1662.5円]などが出資する
 イーモビリティパワー(東京・港)が98.7%を占めていた。
 公取委は競争によるサービス改善や技術革新が生まれにくいとして、高速道路会社に複数の事業者を選定することなどを提言。
 経済産業省や国土交通省に適切な制度設計の検討を求めた。

・量子技術の金融サービスへの導入が実用段階に入ってきた。
 三菱UFJ銀行 <8306> [終値1062.0円]が量子コンピューター関連サービスを展開するスタートアップに出資。
 他の金融機関も研究を進めており、量子金融を巡る技術獲得競争が熱を帯びている。
 量子コンピューターには実用化の途上にある汎用的な計算に使う「ゲート方式」と、
 導入が広がる膨大な組み合わせから最適解を見つけることに特化した「アニーリング方式」がある。
 三菱UFJ銀は人工知能(AI)を組み合わせたデータ処理に強みがあるグルーヴノーツの技術を使い、
 アニーリング方式の幅広い分野への応用を目指す。
 みずほFG <8411> [終値2226.0円]デリバティブの運用での特許取得など量子コンピューターを導入するための研究を進める。
 野村HD <8604> [終値544.4円]や東芝 <6502> [終値4500円]も
 2022年に次世代の暗号技術「量子暗号通信」を金融取引で使う検証実験に成功したと発表。
 損害保険ジャパン <8630> [終値6463円]地震保険のリスク管理について
 量子コンピューターを半導体上で疑似的に再現する日立 <6501> [終値8827円]の技術を使い、計算を効率化して収益性を高めた。
 量子金融の時代の訪れに先駆けてどれだけの用途を開拓できるかが、大手金融機関にとっても将来に向けた資産になりそうだ。

・ゲート方式の量子コンピューターには資産運用の予測精度向上への期待が大きい。
 株や債券でオプションや先物取引をする際には将来の価格を予測する必要がある。
 市場参加者の動きや地震といった不規則に発生するリスクの予測には従来、1日以上かかるような大量の計算リソースが必要。
 だが、ゲート方式の量子コンピューターがあればリアルタイムで処理できる可能性がある。
 課題もある。
 量子コンピューターがクレジットカード番号などをインターネット上でやりとりする際に使う暗号の安全性を危機にさらす可能性があるためだ。
 一部の暗号はスーパーコンピューターでも現実的な時間で解くのが難しいことを安全性の根拠としてきた。

・暗号技術をめぐっては、凸版印刷 <7911> [終値2995.5円]が22年に情報通信研究機構と
 耐量子計算機暗号を用いた認証用のICカードを開発した。
 暗号資産(仮想通貨)分野でもビットコインの安全性の前提が量子コンピューターによって崩れる懸念があり、
 ビットコインに次ぐ時価総額を持つイーサリアムが量子耐性の技術更新を行う計画を立てている。

・米銀最大手のJPモルガン・チェースが支店網を再拡大する。
 急ピッチな金利上昇で利回りの高い金融商品へ預金が流出するなか、粘着性の強い預金の重要性は増す。
 「チェース」ブランドで展開する支店を増やし中小・個人との接点を深める。
 大手銀では、バンク・オブ・アメリカが6月、26年にかけて南部アラバマ州やルイジアナ州など4州に新たに進出すると発表。
 進出拡大により、全米39州で支店網を展開することになる。

・世界の航空株に投資マネーが流入。
 主要企業を組み入れた指数は7/12、約2年ぶりの高値水準をつけた。
 新型コロナウイルス禍からの経済再開で旅客数増加が見込まれるほか、燃料価格の上昇が一服したためだ。
 もっとも、出張などビジネス需要の減少や人手不足といった懸念要素もあり、コロナ禍前の水準を回復するハードルは高い。
 航空需要自体は今後も堅調との見方が多い。
 新興国を中心とした人口と所得の拡大で引き合いが強まるとみられるためだ。
 コロナ禍を経てこれまで安定的だった需要が細るなか、いかに競争力を高めていくか。
 その成否で各社の株価は明暗がわかれそうだ。

・7/13の東京外国為替市場でユーロが対ドルで上昇し、一時1ユーロ=1.11ドル台後半と2022年3月以来およそ1年4カ月ぶり高値を付けた。
 7/12に米労働省が発表した6月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比3.0%上昇と市場予想を下回った。
 鈍化が続く米国と対照的に、ユーロ圏の根強い物価上昇が意識され、ユーロ買い・ドル売りが広がった。

・国際エネルギー機関(IEA)は7/13に公表した7月の石油市場リポートで、2023年の石油需要見通しを下方修正。
 前年比220万バレル増で過去最高の日量1億210万バレルとなるが、前回の6月時点からは20万バレル引き下げた。
 世界的な金融引き締めによる景気減速で、欧州を中心に需要が減少する見通しだ。

・中国の燃料電池最大手、北京億華通科技(シノハイテック)が電気自動車(EV)大国となった中国で苦戦している。
 自動車大手の長安汽車と組んだ初の燃料電池乗用車の販売が低迷。
 EV化が遅れる大型トラックやバスに活路を見いだす。
 燃料電池車の普及は、政府の支援があるうちにコスト削減を実現することが鍵となる。
 EV大国となった中国でその挑戦は容易ではない。

・中国税関総署が7/13発表した貿易統計によると、2023年4~6月の輸出(ドル建て)は前年同期比4.7%減った。
 世界経済の減速に加え、米国などが対中依存の軽減を進めており、2期ぶりのマイナスとなった。
 輸出の減少は工場労働者らの雇用回復に影を落とす。
 輸入も内需が振るわず3期連続で前年同期を下回った。
 貿易全体は停滞しているが、ロシアとの輸出入は大幅に伸びた。
 輸出は前年同期の2.2倍となり、輸入は1割増えた。 

・景気が減速する中国で、財政拡張論が浮上。
 政府系シンクタンクの中国社会科学院は2023年の財政赤字を1兆3000億元(約25兆円)以上拡大するよう提起した。
 国債の増発に伴う歳出拡大で消費のテコ入れなど需要を刺激すべきだと訴えた。
 社会科学院は7/11に公表した報告書で「有効需要の不足と市場の先行き不安から景気の回復力が弱まっている」と分析。
 安定成長に向けて、23年の財政赤字の国内総生産(GDP)比を4%以上に引き上げるべきだと提言した。
 財政拡張のほか、中国人民銀行(中央銀行)による追加利下げを求めた。
 6月に0.1%の利下げを実施したが、企業の資金調達コストを軽減するため下げ幅を拡大すべきだと提言した。
 民間の不動産開発企業への支援も必要だと強調した。

・・岸田文雄首相7/13、ベルギーブリュッセルで欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長、ミシェル大統領と定期首脳協議。
 その後、日EU両首脳は共同記者会見で安全保障分野での関係閣僚協議「戦略対話」の創設など盛り込んだ共同声明発表。
 東京電力HD <9501> [終値512.5円]福島第一原発の事故を受けた
 日本産食品の輸入制限について、EU側は撤廃を決定したことを伝えた。

・米中対立背景に米国からの人材確保が難しくなったため、中国側が研究人材の供給源として日本に注目している可能性も。

・ロシア産原油価格が、7/12、先進7カ国(G7)などが対露制裁で設けた上限の1バレル=60ドル(約8300円)を初めて突破。
 G7などが追加措置検討するかが焦点



Posted by 占い ザ・ハーミット at 12:38│Comments(0)
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