日経 7月20日

日経 7月20日

2023年7月20日(木) 

・ユニ・チャーム <8113> [終値5284円]やライオン <4912> [終値1339.5円]など日用品メーカーと卸の合計10社が
 年内に共同の物流システム基盤の運用を始める。
 数時間を要した荷下ろし作業時間を4割短くする。
 10社連合は共同運送も視野に入れ、運転手不足で物流が滞る懸念がある「2024年問題」に備える。
 トラック運転手の長時間労働を前提としていた物流の見直しが大規模な合従連衡につながってきた。
 連合は今後、メーカー各社の共同配送も視野に入れる。
 各社の拠点を最短ルートで回り効率よく卸の倉庫に届け、配送スケジュールを自動で算出する仕組みも検討する。

・24年問題はトラック輸送に頼る企業間物流で大きな影響が予想される。
 これまで企業側も鉄道や船を活用するなどしてトラック輸送への依存を軽減してきたが、
 長時間労働の要因である配送の荷下ろしや待ち時間といった長年の課題の抜本的な解決を迫られている。
 共同の物流システム基盤を運用する10社は、国内の日用品シェア(販売金額ベース)で5割を超える大型物流連合となる。
 輸送手段にとどまらず、業務全体をつかさどるシステム段階からの物流の効率化に踏み込む。
 規模の利点も生かし、運用コストを減らす。
 トラック運転手の荷下ろしや待機時間を長くしていた要因の一つは荷物の検品作業だった。
 これまではメーカーと卸の間で商品の出荷情報が事前に共有されていなかったため、細かな検品作業が必要だった。

・市場で米国の高インフレに転機が訪れたとの見方が広がり、株高を後押ししている。
 モノの価格高騰が収束したほか、賃金増に根ざすサービス価格の上昇も一服しつつある。
 米利上げ打ち止めの思惑も絡み、景気後退を回避する軟着陸シナリオが勢いを増している。
 7/19午前の米株式市場でダウ工業株30種平均は8日続伸し、1年3カ月ぶりの高値で推移。
 投資家心理を支えるのがインフレの減速だ。
 この日発表の経済指標は予想に届かなかったが、「インフレ鈍化には好都合」との楽観論が先行する。

・イエレン財務長官は7/17、米ブルームバーグテレビに「賃金の伸びは緩やかになってきており、
 インフレは落ち着きつつある」と語り、雇用の急速な悪化が避けられる「好ましい軌道」にあるとの見方を示した。
 市場でも軟着陸シナリオが勢いを増す。
 米ゴールドマン・サックスは1年後の景気後退確率を25%から20%に下げた。
 景気や物価の楽観論が市場を支配すると、
 株高による資産効果などから結果的にインフレ圧力を長引かせてしまう副作用も懸念される。
 FRBがインフレへの勝利を宣言できる状況はなお遠い。

・日産自 <7201> [終値円]7/19、
 北米の電気自動車(EV)の急速充電規格で米テスラの「NACS」方式を2025年から採用すると発表。
 日本の自動車メーカーでテスラ方式の採用は初めて。
 NACSは米欧自動車大手が採用を決め、北米の急速充電規格で事実上の標準になっていた。
 EVシフトが進む北米で充電インフラ整備が加速してきた。
 日産はEV「リーフ」を10年に発売し、
 日本独自の急速充電規格「CHAdeMO(チャデモ)」の旗振り役として普及を後押ししていた。
 日産がテスラ式に合流することで、他の日本車メーカーの動向にも影響を与える可能性がある。

・テスラは北米の急速充電設備でシェアが約6割に達する。
 米ゼネラル・モーターズ(GM)や独メルセデス・ベンツグループなどもテスラ式の採用を決めている。
 米政府はEV普及に向けて充電器を30年までに50万基を設ける目標を掲げる。
 米自動車技術者協会(SAE)が6月にはテスラ式を急速充電規格の標準に採用すると発表している。

・関西電力 <9503> [終値1718.5円]2020年代後半に高浜原子力発電所(福井県)から出た
 一部の使用済みのウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料などをフランスに運び出す。
 6/12の発表では研究目的で保管してもらうと説明した。
 もともと県外に中間貯蔵先を設けて搬出する予定だったが、候補地が決まらなかった。
 その間に使用済み燃料は関電が運用する原発の敷地内でため込まれ、その貯蔵量はすでに容量の8割を超えた。
 先送りができないなかで頼ったのがフランスだった。
 燃料を再処理して利用する国の核燃料サイクルが止まったままで、使用済み核燃料の行き場がないことが背景にある。
 国内で循環させる方針だった核燃料を外国に持ち込むことが続けば、自国でサイクルを実現するという政策目標との矛盾が生じる。
 とはいえ、核燃料サイクル政策を凍結するのも簡単ではない。
 使用済み燃料の扱いは電力会社や自治体だけで解決できない問題だ。
 国策として原発政策を進める以上、国は矛盾に真剣に向き合う必要がある。

・工業用水の水道管が老朽化している。
 法定耐用年数の40年を超える水道管は全国で48.3%と半数に迫り、
 老朽管の長さは東京―ベトナム(ホーチミン市)間に相当する計4275キロメートルに上る。
 水道管を管理する自治体は10年前と比べ予算を2倍近くに増やし、改修を急いでいる。
 多くの工業用水は1950年代後半以降に稼働が始まり、自治体は定期点検や補修で長寿命化に取り組んできた。
 全国の設備投資額は21年度に全国で618億円と、10年前の1.8倍になった。
 投資負担に悲鳴を上げる自治体もある。

・訪日客数が緩やかに回復している。
 6月は新型コロナウイルス禍前の水準の7割を初めて超え207万人だった。
 1人当たり旅行支出は2019年を上回り、消費総額の減少の大部分を補った。
 航空便の回復の遅れに加え、日本の人手不足で今後の急激な客数増は見込みにくい。
 消費単価の向上が重要になる。
 日本政府観光局(JNTO)が7/19に発表した訪日客数によると、23年1~6月は1071万2000人だった。
 1000万人の大台に乗せたものの、コロナ前の19年同期(約1663万人)比では約6割の規模だ。
 6月はコロナが急拡大した20年2月以降、初めて200万人を超え、207万3300人。
 国・地域別では韓国が54.5万人と最多、19年6月比で10.9%減。
 次いで台湾が38.9万人(15.6%減)、米国が22.6万人(29.2%増)だった。

・観光庁が7/19発表した23年4~6月の訪日客1人あたりの旅行支出は20万5000円(速報値)で19年同期比32%増。
 消費総額は1兆2052億円で減少幅は19年比で4.9%にとどまる。
 韓国や台湾、フィリピンは訪日数はコロナ前に比べて減ったものの、1人当たり消費額が増え、全体はプラスだった。
 大きな要因は円安にある。
 外国為替市場ではコロナ禍前の19年1月は1ドル=108円台前後で足元では139円台。
 国外とのインフレ差も日本の割安感に拍車をかけた。

・マイナンバーカードに別人の銀行口座が誤って登録されていた問題を巡り、
 政府の個人情報保護委員会は7/19、デジタル庁に立ち入り検査を始めた。
 数日間にわたり同庁の口座管理システムなどを詳しく調べる。
 検査の結果を踏まえ必要に応じて行政指導も検討する。
 7月末までにおよそ3600の行政機関にひも付け作業の状況を聞き取り、
 誤りのおそれがある機関には今秋までに全データの調査や登録の修正を求める。

・財務省は2024年度予算の概算要求で、
 賃上げや脱炭素といった「新しい資本主義」を推進する特別枠を設けて
 各府省庁から計4兆円超の要求を募る。
 政府は特定の施策に重点配分するため同様の手法を繰り返してきた。
 メリハリをつけやすいのは利点だが政権の看板政策の一貫性に欠ける弊害もつきまとう。

・きょうのことば 2024年問題 安定輸送へ政府が指針
 2019年施行の働き方改革関連法で時間外労働時間の上限などが定められたが、
 物流など一部業界では24年3月末まで猶予期間がもうけられていた。
 同年4月以降はトラック運転手の時間外労働時間が年間960時間と制約が求められる。
 物流業界は慢性的な人手不足が続いている。
 労働時間の上限が加わることで安定輸送がさらに困難になるとの懸念があることから「2024年問題」と呼ばれる。

・次期衆院選で野党第1党を目標にする日本維新の会が候補予定者の上積みを急いでいる。
 289ある全ての小選挙区に候補を立てる方針で、現職を除く新人・元職の公認候補数はすでに立憲民主党を超えた。
 候補は都市部に偏り、地方での擁立遅れが課題となる。

・転職にあたり7割は何も準備せず、スキルを磨いたり資格を取ったりする人は1割程度にとどまる。
 日本で乏しい転職前のリスキリング(学び直し)を公的に支援する取り組みが8月にかけて動き出す。
 転職できたら最大56万円の支援を受けられる。硬直した労働市場が動く転機になるか。
 働く人の目線が学び直しに向かなかったのは、これまでの教育支援が転職を想定していなかったためでもある。
 転職は企業にとっては人材の流出につながる。
 企業は転職市場の人たちを自社に引きつけ、処遇するための人事制度の改革を求められる。

・日本政策金融公庫の調査によると、
 海外で直接投資や生産委託をしている中小企業341社のうち15.2%が国内回帰を検討。
 人件費の高騰や政治情勢への不安が要因だ。
 海外から撤退した中小企業の数は20年ごろから増加傾向が続く。
 海外で生産委託する企業のうち4分の3が中国に拠点を構えるのに対し、
 進出を検討する企業の間では中国よりもベトナムやインドネシアといった東南アジア諸国が人気だった。

・投資信託の信託報酬の引き下げ競争が激化している。
 野村アセットマネジメントは低コストのインデックス投信シリーズの提供を始めた。
 うち1本は信託報酬を競合商品の約半額に抑え、投資初心者を中心に新規顧客を囲い込む。
 新しい少額投資非課税制度(NISA)は2024年に始まる。
 野村アセットは「はじめてのNISA」シリーズの取り扱いを10日に始めた。
 日本株と海外株の全5ファンドをそろえ、すべてつみたてNISAの対象商品とした。
 新NISAのつみたて投資枠でも投資できるよう準備する。
 インデックス型や海外の運用会社が提供する商品が人気を集めており、
 公募投信の残高上位20銘柄のなかで国内の運用会社が運用するアクティブ型ファンドは4本しかない。
 政府は6月に「資産運用立国」を目指すと「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」で宣言。
 運用会社の商品開発力も重要になる。

・地方銀行がPBR(株価純資産倍率)1倍割れの改善に動いている。
 横浜銀行などを傘下に持つコンコルディア・FG <7186> [終値593.4円]は利幅の厚いM&A(合併・買収)向けの融資を増やし、
 北国FHD <7381> [終値4485円]は投資ファンドの収益を伸ばす。
 地銀のPBRはすべて解散価値とされる1倍を割り込んでいる。
 PBRはROE(自己資本利益率)にPER(株価収益率)を乗じて算出する。
 地銀の多くは比較的リスクの高い融資を増やしたり、事業の多角化でROEを上げて低PBRを改善する計画をつくった。

・ソフトバンクグループ(SBG)<9984> [終値7055円]手掛けるビジョン・ファンドが英フィンテック企業への新たな投資を決めた。
 かつてのような周囲が驚く大胆な投資は影を潜め、手堅い一手を打ち出した。
 新規投資が明らかになるのは2023年に入って初めてだ。
 ビジョン・ファンドはあくまで投資家から資金を預かり、リターンを戻す過程で手数料を得る「ファンド投資事業」だ。
 今回の手堅い投資はビジョン・ファンドが「ふつうのVC」となったことを物語る。

・不動産運用会社のケネディクス(東京・千代田)は東京都内のタワーマンションを裏付けとするデジタル証券を発行して資金調達する。
 STO(セキュリティー・トークン・オファリング)と呼ぶ手法で、調達額は国内最大の134億円を見込む。
 野村証券 <8604> [終値560.3円]が単独で取り扱う。
 デジタル証券化するのは東京都中央区の賃貸マンション「リバーシティ21 イーストタワーズ2」の不動産受益権の75%分。
 鑑定評価額は300億円で、主に個人投資家から計134億円を募り、残りはみずほ銀行がローンを提供。
 1口あたりの販売価格は100万円で、最低1口から購入できる。
 運用期間は約10年間。対象物件を外部の不動産会社やファンドなどに売却し、資金回収する。
 分配は年2回実施し、年率換算の利回りは3.47%を見込む。 

・海外企業などが円建て債券の発行を増やしている。
 2023年4~6月の起債額は約8500億円と、四半期ベースでは4年ぶりの高水準となった。
 日銀 <8301> [終値31000円]が大規模緩和を続ける姿勢を示したことで金利が落ち着き、起債しやすくなった。
 米国などで景気や金融環境の悪化懸念が根強いなか、海外企業などは市場が安定している日本に調達先を広げる狙いもある。

・ロシア産原油の価格が上がっている。
 主力油種の足元の価格は、主要7カ国(G7)が制裁として設定する輸入価格の上限を突破した。
 産油国の減産で需給が引き締まり原油の国際価格が上がったことに加え、
 インドなどの需要が増えて国際価格とロシア産との値差も縮小した。
 ロシア産原油の上昇は、ロシアの戦費調達に歯止めをかけるという制裁の効果を弱めかねない。
 ロシアが8月に減産すると伝わったことも需給の引き締まりに拍車をかけた。

・英国で物価高と景気後退が同時進行するスタグフレーションの懸念が出ている。
 欧州連合(EU)離脱が招いた労働力不足による賃金と物価上昇への対応で英中銀の追加利上げ観測がやまず、
 英金利は2022年秋の「トラス・ショック」を超えた。
 米国やユーロ圏と比べた苦境が鮮明で、新たな「英国病」との見方もある。

・米企業で従業員がオフィスに戻る動きが停滞している。
 米主要都市圏の出社率は足元で5割にとどまり、頭打ちが鮮明。
 各社は出社を促そうと頭を抱えている。
 新型コロナウイルスがもたらした都市経済や働き方が定着する可能性がある。
 米国のZ世代を中心とした若者の間では、月曜日に最低限の仕事しかせず、
 こころと身体の健康を優先する「ベア・ミニマム・マンデー」という考え方も
 SNS(交流サイト)を通じて広がるなど、新しい働き方が浸透。
 週末気分を少しでも長く味わいたい個人が週の始まりと終わりを在宅勤務にすることも多い。
 
・米国ではすでに、オフィスの空室率が高止まりしている。
 米不動産大手のシービーアールイー(CBRE)のまとめた調査によると、
 2023年1~3月期における米国のオフィス空室率は前年同期比1ポイント増の17.8%だった。
 20年1~3月期と比べると5.5ポイント上昇した。

・奨学金の貸与を受けた本人に代わって、社員の奨学金を返済する支援制度を設ける企業が増加している。
 人材獲得競争の激化も背景にある。
 6月末の利用企業は920社、今夏にも1千社突破する見通し。

・2023年度の最低賃金の引き上げ巡る議論が佳境に。
 岸田文雄政権は全国平均時給を現在の961円から1千円に到達させる意向。
 1千円からどの程度上積みが行われるかが焦点。



Posted by 占い ザ・ハーミット at 13:03│Comments(0)
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