日経 11月23日
2023年11月23日
2023年11月23日(木)
・金融庁は銀行グループによる事業会社への出資規制を緩和する。
現在は投資専門子会社を通じて設立10年未満の企業に限り
5%超の出資を認めているが、10年以上の企業にも5%を超えて出資できるようにする。
銀行が新興企業にリスクマネーを供給しやすくし、
創薬など研究開発に時間がかかる新興企業のニーズに対応できるようにする。
・銀行など金融機関による出資は22年に300億円強だった。
今回の規制緩和によりスタートアップの資金ニーズをつかめば
数百億円規模で増える可能性がある。
日本はVCが十分育っておらず、スタートアップに資金が行き渡りにくいのが実態。
預金を扱う銀行による出資には様々な制約がある。
過渡期の措置として銀行への規制を緩め、スタートアップの成長を後押しする。
・イスラエルとイスラム組織ハマスは11/22、
パレスチナ自治区ガザで続く戦闘を4日間休止することで合意。
戦闘休止と引き換えにハマスはガザで拘束中の人質50人を解放する。
双方の合意で戦闘が一定期間収まるのは、10/7に軍事衝突が始まって以降初めて。
・バイデン米大統領は11/21、戦闘休止の合意を歓迎する声明を出し
「全ての合意項目を完全に実行することが重要だ」として双方に履行を求めた。
交渉に取り組んだカタールとエジプトの首脳に謝意を示した。
ハマスは10/7にイスラエルに越境襲撃して約1200人を殺害し、人質約240人を連れ去った。
・自治体の税収が新型コロナウイルス禍から復調している。
日経新聞社が全国815市区の2022年度決算を調べたところ、
税収総額は3年ぶりに増加。
前年度比で約3%増の19兆4140億円と
市町村合併が一段落した14年度以降で最大。
製造業など企業業績がコロナ禍の落ち込みを脱したのが寄与した。
調査はNEEDS(日経の総合経済データバンク)を使い、
自治体財政が一定の基準で比較可能な普通会計ベースの決算(速報)を集計。
市町村合併は14年4月以降は行われておらず、
同年度から比較した。後に2市が市制化している。
東京23区の固定資産税と法人住民税は、都税のため集計していない。
・2024年度施行の診療報酬の改定ではかかりつけ医・薬局の機能強化が論点の一つとなる。
高齢化のピークに備え、医療の効率を高めるのに欠かせない改革だ。
新型コロナウイルス禍では患者に寄り添う役割で株式会社が活躍した。
夜間や休日の往診に協力してくれる勤務医らを患者につなぐファストドクター(東京)。
大学病院の整形外科医だった菊池亮氏が16年に創業。
「不要な救急車搬送を3割減らす」というビジョンを掲げる。
病気やケガの患者からアプリや電話で相談を受けて緊急度を判定し、
一刻を争うなら救急搬送につなぐ。
急ぐ必要がなければ翌日の外来受診を勧める。
救急車を呼ぶほどではないが、急いで診察を受けたほうがよい場合は登録医師が駆けつける。
患者宅で検査や処置をし、当面の薬も提供する。
そんな事業がコロナ患者の見守りに悩む自治体の頼みの綱になった。
医療の改革には企業をいたずらに排除せず、連携と協調を通じてその力を生かす政策が要る。
・北朝鮮は11/22、軍事偵察衛星を11/21夜に打ち上げたと公表。
韓国軍合同参謀本部は同日、北朝鮮の偵察衛星が地球の周回軌道に進入したとの見方を示した。
専門家はロケットの正常飛行に必要なノウハウをロシアが提供したとみる。
偵察衛星は軍事作戦の「目」の役割をする。
機能させるには解像度の高い撮影機を載せた人工衛星を正確に軌道に乗せ、
地上と通信でつなぐ必要がある。
北朝鮮の軍事技術がその水準まで達したかは現時点で不明だ。
仮に衛星の運用が不十分でも北朝鮮には別の成果が見込める。
ロケットを宇宙空間まで飛ばす技術は
大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発に生かせるからだ。
特に分離しながら宇宙空間に上昇する過程の技術は共通する。
・北朝鮮による軍事偵察衛星の発射を受けて韓国政府は11/22、
南北軍事合意の効力を一時停止すると決めた。
韓国軍は軍事境界線付近で偵察活動などを再開する。
日米韓3カ国は安全保障協力を一段と深め、
12月にもミサイル探知情報の即時共有を始めるなど抑止力や対処力を高める。
・主要7カ国(G7)の外相は衛星発射を非難する声明を発表。
ロシアによるノウハウの提供を念頭に
「北朝鮮への核・弾道ミサイル関連技術のいかなる移転の可能性も深く懸念している」と強調。
北朝鮮によるロシアへの武器供与を改めて非難し、北朝鮮とロシアに国連安全保障理事会の決議を順守するよう求めた。
・対話型AI(人工知能)「Chat(チャット)GPT」を開発した米オープンAIは11/21、
解任したサム・アルトマン氏が最高経営責任者(CEO)として復帰することで基本合意。
社員がアルトマン氏の解任に反発して大量離脱する経営危機を回避。
生成AIの事業の急拡大に対応した企業統治の体制整備は引き続き課題となる。
・生成AIの関連市場は30年には
23年比の約5倍の2000億ドル(約30兆円)規模に成長する見通し。
開発はスタートアップ企業がけん引する。
オープンAIの推定企業価値は円換算で13兆円に達する。
イノベーションをけん引する企業が統治不全に陥ると社会への影響も大きい。
国家の過剰な介入や規制を招く可能性もある。
・東芝 <6502> [終値4602円]11/22、都内で臨時株主総会を開き、
株式非公開化に向けた株式併合などの議案が承認された。
12/20に東京証券取引所への株式上場が廃止となり、
日本産業パートナーズ(JIP)傘下で再生を目指す。
東芝買収に参加した20社超の出資企業との連携策が復活の鍵を握る。
安定した株主のもと事業戦略を立て直す環境がようやく整う。
・イスラエルが22日、人質50人の解放と引き換えに、
パレスチナ自治区ガザでの戦闘を4日間休止することでイスラム組織ハマスと合意。
米国やカタールによる水面下の交渉が実を結んだ。
イスラエルとハマスの相互不信は根深く、本格的な停戦や残る人質の解放は見通せない。
戦闘が再開すれば、ガザに住む人の被害はさらに拡大する。
中東の衛星放送局アルジャズィーラは、
イスラエル軍が11/21夜から11/22早朝にもガザ全土を攻撃したと伝えた。
・自民党の小泉進次郎元環境相ら超党派の国会議員は11/22、
一般ドライバーが有料で顧客を送迎する「ライドシェア」の導入に向けた勉強会の初会合を開いた。
全面解禁をめざし政府の規制改革推進会議と歩調を合わせる。
与野党の慎重論を抑える役割を担う。
超党派の勉強会は野党や自治体を巻き込んで推進勢力をつくる狙いがある。
ライドシェアは17年の規制改革推進会議でも導入機運が高まったものの、
安全面などの懸案が出てきて議論が進まなかった。
勉強会はこうした経緯を踏まえて設置が決まった。
・岸田文雄首相は11/22のデジタル行財政改革会議で、
一般ドライバーが有料で顧客を送迎する
「ライドシェア」導入に関して都市部を含めた対応を促した。
「あらゆる選択肢を排除せず、都市部を含め
ライドシェアの喫緊の課題への対応策の議論を加速してほしい」と語った。
首相は政府の規制改革推進会議で
タクシーの規制緩和も含めて議論を進めるよう求めた。
年末に対応方針を報告するよう指示した。
・建設現場の人手が足りない。
作業員の時間外労働に上限規制を課す「2024年問題」が迫り、逼迫感はさらに強まる。
国土交通省は建設現場に専任の責任者を置かなければならない要件を緩和し、
より規模が大きい工事を兼任できるようにする。
資格取得に必要な検定試験の受検条件も緩め、人手不足に備える。
スマートフォンやウェブ会議などを通じて連絡をとりやすい環境の整備を促す。
現場間の距離も2時間ほどで移動できる範囲にとどめてもらう。
大東建託 <1878> [終値16395円]要件緩和に備え、現場の下請け業者や職人が、
遠隔地にいる監理技術者などに工事現場の映像を送れるようにウエアラブルカメラの導入を検討している。
・政府は11/22に公表した11月の月例経済報告で、国内の設備投資の判断を引き下げた。
海外経済の不透明感や2022年にあった半導体関連の大型投資が一巡、
7~9月期の設備投資は減少した。
企業の稼ぎが「攻め」の投資に向かっておらず、内需は力強さを欠く。
内需では実質賃金が9月まで18カ月連続でマイナスとなっている。
企業が人や設備など「攻め」の投資への積極姿勢を強めなければ、
日本経済が安定的な回復軌道をたどる姿は見えづらい。
・政府は11/22、首相官邸でデジタル行財政改革会議を開いた。
運転手がいない自動運転による交通事故の責任に関するルールを検討する会議を立ち上げ、
2024年5月をメドに結論をまとめると確認した。
刑事責任を課す対象などを明確にし、実用化をめざす民間企業が負うリスクへの懸念を払拭する。
政府の全ての予算を点検するための「行政事業レビューシート」のデータベースを24年度に構築し、
政策同士の比較や分析をしやすくする態勢を整える。
・厚生労働省は新型コロナウイルスのワクチン接種の全額公費接種を2023年度で終了する。
24年4月以降は公費支援の対象を65歳以上の高齢者らに絞る。
64歳以下は任意接種とし原則自己負担とする。
厚生科学審議会(厚労相の諮問機関)が11/22に開いた
予防接種・ワクチン分科会で支援の縮小を決めた。
季節性インフルエンザと同じ「定期接種」に位置づけることに伴う措置だ。
定期接種は65歳以上の高齢者と一定の基礎疾患を有する60歳~64歳が対象で、
年1回、秋冬の時期に実施する。
・暗号資産(仮想通貨)交換業最大手バイナンスは11/21、
米国における法令違反の責任を認めて、
司法・金融当局に対し合計43億ドル(約6400億円)の罰金を支払うことで合意。
米司法省によると企業に科した罰金で過去最大という。
同社を創業したチャンポン・ジャオ氏も不正を認め、最高経営責任者(CEO)の職を辞任した。
バイナンスは、昨年11月に破綻したFTXトレーディングの買収を一時検討したことでも知られる。
ジャオ氏は、有罪判決を受けたFTXのサム・バンクマン・フリード被告と並ぶ「業界の顔」だった。
仮想通貨業界への逆風が一段と強まる可能性がある。
・米連邦準備理事会(FRB)は11/21、10/31~11/1に開いた
米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公開。
参加者からは過度な金融引き締めを懸念する声が上がった一方、
利下げに転じる条件などを示唆する発言もなかった。
FRBは根強いインフレへの警戒から政策の見通しを示せないでいる。
議事要旨には、金融政策の一定の方向性を示すことで、
金融市場に大きな混乱が生じないようにする役割がある。
世界有数のエコノミストをそろえるFRBが明確な見通しを示せないのは「異例」との見方もある。
データ重視を強調する姿勢には、政策運営に自信を持てていないFRBの本音がにじんでいる。
・日銀 <8301> [終値28300円]11/22、定例の国債買い入れオペ(公開市場操作)を通知。
残存期間「5年超10年以下」の買い入れ予定額は5250億円と、
前回の定例オペ通知(5750億円)から減額した。
減額は2週連続となる。
長期金利は11/21に一時0.690%と2カ月半ぶりの低水準をつけていたが、オペを受けて低下が一服した。
・電気自動車(EV)などに使用する産業用金属で脱ロシアの動きが目立つ。
生産シェアが高いロシアからの供給が滞るとの懸念で
ウクライナ侵攻後に高騰してきたが、他国産や代替材料にシフトが進む。
自動車の排ガス浄化触媒に使うパラジウムは約5年ぶりの安値をつけ、
EVの電池材料に使うニッケルも2年半ぶり安値圏にある。
米中の景気減速懸念も相場の重荷になりそうだ。
産業用金属の先物市場からは投機マネーが流出している。
売り越し幅は遡ることができる01年以降で最大になった。
LMEが公表する投機筋の建玉(未決済残高)でも、ニッケルは5月以降、売り越しが続く。
不動産不況が続く中国景気の底入れも見通せない。
産業用金属の需要減を見込み、市場ではさらなる安値を予想する見方もある。
・米国株の予想変動率を示す「VIX指数」が低下。
11/21まで3日連続で下落し、13.35と9/14以来約2カ月ぶりの低水準を付けた。
米連邦準備理事会(FRB)による利上げ終了の見方が広がり、
金利上昇に対する警戒感が薄れている。
「恐怖指数」と呼ばれ、投資心理が冷え込むほど上昇する。
10月以降は長期金利の上昇などで、不安心理の高まりを示す節目の20を上回っていた。
イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が
原油価格など米経済に与える悪影響への懸念も和らいできている。
もっとも、消費余力の低下は懸念材料だ。
「過剰貯蓄が減少し、クリスマス商戦は市場の予想よりも弱い結果となる可能性がある」。
米消費の弱さが鮮明になれば、市場の先行きへの不安感が一時的に高まる可能性がある。
・米株式市場で「やせ薬」が関心を集めている。
開発を手掛ける製薬会社の株価が大幅に上昇する一方で、
消費行動の変化が食品など
幅広いセクターに影響をもたらすとの観測から株価が下落する銘柄も目立つ。
成人の4割が肥満とされる米国を中心に市場規模は拡大すると見られ、
思惑先行の売買が広がっている。
薬価の高さも普及のハードルになっている。
「米国での治療費は年1万ドル(約148万円)以上と高くまだ普及には至らない。
株価下落は現状の食品会社などの業績に与える影響よりも、
(未知なものに対する)恐怖の方が大きい」とみる。
・東南アジアで地熱発電の開発が加速している。
インドネシアで財閥系と国営系が株式上場し資金調達に乗り出したほか、
フィリピンでも地熱最大手が今後3年で1600億円を投資する。
両国は世界有数の地熱の埋蔵量を有し、再生可能エネルギー普及の推進役として位置づける。
・地熱発電の開発では日本企業の投資も目立つ。
住友商事 <8053> [終値9154.0円]とINPEX <1605> [終値2108.0円]
スマトラ島中部のムアララボ地熱発電所に8割出資する。
発電容量を25年までに2倍超とし、22万キロワットにする計画。
日本勢が参画する「老舗」としては、スマトラ島北部のサルーラ発電所もある。
九州電力 <9508> [終値1002.5円]や伊藤忠商事 <8001> [終値5934円]など日本勢が過半出資。
東南アジアの地熱発電で先行するのはフィリピンだ。
地熱資源量が世界5位の同国は、総発電量の10%程度を地熱が占める。
・日本企業は地熱発電の設備で存在感が大きい。
三菱重工 <7011> [終値8295円]東芝 <6502> [終値4602円]
富士電機 <6504> [終値6121円]がタービンの「御三家」といわれ、3社の世界シェアは約7割に。
中国企業が太陽光発電や風力発電の設備を席巻するなか、
日本勢にとって地熱市場の重要性は高い。
国際エネルギー機関(IEA)によると東南アジアでは地熱発電による発電量が
50年に2760億キロワット時となり、20年の10倍まで急拡大する見通しだ。
ただ、日本で温泉への影響の懸念などから地熱開発が遅れているように、
東南アジアでも地元住民の反対を受けるケースがある。
・フィリピン沿岸警備隊(PCG)は11/22、マニラ湾で日本の海上保安庁の支援のもと、
海洋警備能力の向上につなげる訓練を実施。
大型巡視船を使い、他の船をけん引する訓練などを繰り返した。
南シナ海で領有権を巡り対立する中国を念頭に、日本の支援で態勢強化を急ぐ。
日本のフィリピンへの支援は、今回の訓練にとどまらない。
岸田文雄首相が11/3~4にフィリピンを訪問し、
政府開発援助(ODA)を活用して大型巡視船5隻を追加で供与することが決まった。
さらに米国沿岸警備隊が主導する形で、フィリピンは12月初旬まで
日本やマレーシアと連携した警備研修などを実施する見通し。
南シナ海での中国を念頭に置いた多国間の協力関係が広がりつつある。
・中国政府が2023年分の国際原子力機関(IAEA)への
分担金の納付を先送りし続けていたことがわかった。
IAEAの関係者によると9月下旬の時点では
約97億円の分担金の全額の納付を保留しており、
11月上旬時点でも半額しか拠出していないという。
・オーストラリア政府は11/22、サイバー攻撃への対策を強化するため、新たな国家戦略を発表。
2030年までに5億8690万豪ドル(約570億円)を投じる。
民間企業のほか、電力や港湾など重要インフラのリスク低減につなげる。
サイバー攻撃には犯罪組織のほか、中国やロシアといった国家の関与も指摘される。
政府は860万豪ドルを、国家レベルでのサイバー防衛強化にあてる。
太平洋島しょ国のサイバー防衛強化には、約1億2970万豪ドルを投じる。
島しょ国でもデジタル経済圏が発達する一方、サイバー犯罪の脅威には脆弱だ。
豪州と歴史的に関係の深い島しょ国への支援強化で、地域全体の安定を保つ狙いがある。
・石油輸出国機構(OPEC)11/22、
加盟国と非加盟の産油国でつくる「OPECプラス」の閣僚級会合などを延期すると発表。
閣僚級会合は11/26に予定されていたが、11/30に開催するとしている。
・20カ国・地域(G20)は11/22、オンライン形式で首脳会議を開いた。
ロシアのプーチン大統領は演説で、自ら侵攻したウクライナを巡り
「私たちはこの悲劇を止める方法を考えなければならない」と一方的に主張し、
同国との和平交渉を拒否していないと強弁した。
Posted by 占い ザ・ハーミット at 13:02│Comments(0)