日経 2月28日
2024年02月28日
2024年2月28日(水)
・厚生労働省が27日発表した2023年の出生数(外国人含む速報値)は75万8631人で、
前年から5.1%減少した。減少ペースは想定より速く、
この傾向が続くと35年にも50万人を割る。
結婚適齢期の人口が急激に減少する「2030年の崖」を越えると、
出生数の反転は難しくなる。
人が減っても成長力を保つ改革も必要になる。
外国人労働者との向き合い方は重要な課題だ。
人手不足の業種で外国人を受け入れる特定技能制度の対象拡大は固まったが
政府が及び腰の移民議論も避けては通れない。
・自民党派閥の政治資金問題を巡る衆院政治倫理審査会は2/28の開催が見送りとなった。
与野党が27日の協議で公開の可否について折り合えなかった。
自民党は記者の傍聴と録音を認めるものの、テレビ中継は容認できないと主張。
野党はこの案に反発した。
野党は報道関係者も入室させてテレビ中継を認めるべきだと重ねて主張し、
交渉は物別れに終わった。
・アマゾンジャパン(東京・目黒)の配送業務の受託で
最大手の丸和運輸機関 <9090> [終値1414円]、
中古ガソリン車を改造した軽商用バンの電気自動車(EV)を導入する。
商用EVの新車供給が限られているためで、
2030年までに全車両の約3割の1000台程度を置き換える。
導入コストを抑えた脱炭素の取り組みとして、同様の中古改造EVが広がりそうだ。
・丸和運輸は荷主企業の物流を一括して引き受ける事業を得意とする。
電子商取引(EC)市場の拡大に合わせて、アマゾンなどから需要を取り込み、
親会社のAZ-COM丸和HD <9090> [終値1414円]は24年3月期の売上高で
前期比12%増の2000億円を見込む。
丸和運輸はみずほリース <8411> [終値2797.0円]と組んで改造EVをリース契約で導入する。
改造費用は1台約140万円を見込む。
将来は新車EVと比べた際の導入コストを半分に抑えられると試算。
1台当たり電気料金もガソリン代に比べて、年間40万~50万円ほど安くなる。
交換式バッテリーの充電拠点を各配送エリアの営業所に設け、
午前中の配達が済んだ後などに荷物の積み込みと合わせて交換できるようにする。
・物流大手SBSHD <2384> [終値2391円]も小型トラックを使った改造EVの導入を検討。
同社は中期的に2000台のEVを導入する計画だが、現在は30台程度。
新車EVは値段が高く「一気に増やすにはハードルが高い」(同社関係者)。
3月中メドに検証を始める。
・日本で商用EV市場は立ち上がったばかりだ。
先行する三菱自 <7211> [終値454.8円]航続距離を3割伸ばした
新モデル「ミニキャブEV」を23年末に発売。
ホンダ <7267> [終値1776.5円]今春、商用軽自動車「N-VAN」ベースのEVを売り出すほか、
電池交換式の商用軽EVの実用化も目指している。
軽シェア2位のスズキ <7269> [終値6628円]は3月までに投入予定だった商用EVの発売を延期。
トヨタ <7203> [終値3582.0円]完全子会社で、軽シェア首位のダイハツ工業などと
共同開発し、OEM(相手先ブランドによる生産)供給を受ける予定だった。
ダイハツの検査不正で販売の見通しはたっていない。
・宅配最大手のヤマト運輸 <9064> [終値2916.0円]は30年度までに2万3500台のEVを導入する。
集配車全体の約6割を占める規模だが、23年度時点では2200台程度にとどまる。
佐川急便 <9143> [終値1850.5円]も国内6000台の軽自動車を
30年度までに電動化する計画だが、新車の供給が遅れている。
・米国でイチゴの植物工場を運営する日本発の農業スタートアップ企業
オイシイファーム(ニュージャージー州)がNTT <9432> [終値182.5円]など
世界の19企業・団体から出資を受けることが分かった。
調達額は合計で1億3400万ドル(約200億円)。
国内にとどまりがちな日本のスタートアップで、
海外での成長を目指し大規模投資する例が出てきた。
200億円は日本発のスタートアップの創業初期としては過去最大級。
安川電機 <6506> [終値6182円]も出資し自動化システムの開発で提携する。
・2/27の東京株式市場で日経平均株価が3日続伸し、過去最高値を3営業日連続で更新。
半導体関連以外に物色が広がり、相場に底堅さが見られる。
脚光を浴びるのがエンターテインメント関連企業で、
世界的に競争力のある知的財産(IP)を持つことが海外投資家に評価されている。
「半導体・大型株ラリーから物色が広がっている。中長期の投資家が買っているようだ」。
ゴールドマン・サックス証券の石橋隆行ヴァイス・プレジデントはこう話す。
矛先が向かう一つがエンタメ銘柄だ。
この日はサンリオ <8136> [終値8320円]が33年半ぶり、
コナミグループ <9766> [終値10000円]が24年ぶりの高値を付けた。
・エンタメ企業の無形資産の多くは貸借対照表に計上されない。
例えば任天堂 <7974> [終値8508円]2023年12月末の無形固定資産が148億円と
総資産の1%に満たない。
資産に計上されていない価値を市場が評価し、高PBRとなっている可能性がある。
PBR(株価純資産倍率)はサンリオ <8136> [終値8320円]が9.1倍、
カプコン <9697> [終値6011円]が6.8倍、任天堂が4.0倍に達し、
米ウォルト・ディズニー(約2倍)や中国の騰訊控股(テンセント、約3倍)を上回る。
・東宝 <9602> [終値4964円]北米で初めて自社配給した「ゴジラ」新作が
実写邦画の興行収入で記録を更新。
サンリオ <8136> [終値8920円]はファン投票によるキャラ創出の仕組みを作った。
市場予想では25年3月期と26年3月期に最高益となる見通しだ。
海外投資家の注目も高まる。
フィデリティ投信のペン・バワーズ日本株式リサーチ・アナリストは
「日本企業のIPが世界で成功する力を持つことは海外投資家によく知られるようになった」と語る。
カプコン <9697> [終値6011円]「海外投資家からの取材依頼が増えている」という。
・ソニーグループ <6758> [終値12930円]傘下のゲーム事業会社、
ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は2/27、
SIEの社員数の8%にあたる約900人を削減すると発表。
欧米や日本、その他のアジア太平洋地域など世界全地域を対象に、
ゲーム開発や間接部門で働く従業員などを減らす。
米国では対象者全員へ2/27に通知する。
日本ではSIE以外の企業への再就職に向けた支援プログラムを提供する。
英国では社員代表との労使協議に入る。
英国の自社スタジオ「ロンドン スタジオ」の解散も含む。
・セブン&アイHD <3382> [終値6350円]
コンビニエンスストアと食品スーパーを融合した新型店を展開する。
イトーヨーカ堂の調達網を生かして生鮮品などを充実させ、品ぞろえをコンビニの2倍に増やす。
消費行動の変化で都市型小型店の人気が拡大する中、新型店でノウハウを蓄積し、
構造改革を進めるヨーカ堂の底上げにもつなげる。
セブン&アイはヨーカ堂の再建を急いでいる。
1月には45歳以上の正社員を対象に早期退職の希望者を募っていると明らかにした。
不振が続いた衣料品で自前の企画開発から撤退し
2月からアパレル国内3位のアダストリア <2685> [終値3505円]から商品供給を受け始めた。
・スウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟が26日、確定した。
ハンガリー議会が承認し、全加盟国の手続きが完了した。
NATO加盟国がバルト海を包囲する形となり、ロシア軍の活動の制約につながる。
・物価安定を左右するサービス価格の上昇が勢いを欠いている。
1月の伸び率は前年同月比2.2%プラスと7カ月ぶりに伸びが鈍った。
コストに占める人件費が多い品目の値動きが乏しい。
今春に一段の賃上げが実現しても、
価格転嫁が遅れれば物価上昇との好循環の継続は難しくなる。
・気候変動や紛争、世界の人口増加などで食料供給が不安定となるリスクが高まるなか、
政府は増産指示や財政支援・罰則を通じて食料安全保障を確保する新たな仕組みを整える。
農政の基本指針を定めた「食料・農業・農村基本法」の改正案と
「食料供給困難事態対策法」と名づけた新法案を2/27に閣議決定した。
・日本は農林水産省が12年に策定した「緊急事態食料安全保障指針」で
食料危機時の政府の対応策を記している。
法的拘束力がなく、実効性を担保できていなかった。
三菱総合研究所の稲垣公雄・食農分野担当本部長は
「財政支出を増やせない制約のなかで豊かな食を維持し続けることが重要だ」と指摘する。
・野村アセットマネジメント <8604> [終値855.5円]
投資ファンドのKKRやカーライルなどと組み、
オルタナティブ(代替)資産で運用する商品を投入する。
レオス・キャピタルワークス <7330> [終値1421円]や
三井住友トラスト・アセットマネジメント <8309> [終値3062.0円]も
非上場株に投資する投資信託を設定する予定。
政府が資産運用立国を掲げるなか、運用を多様化する動きが広がってきた。
オルタナティブ運用は上場株や債券といった伝統的な資産に代わる分野に投資する運用手法を指す。
主にプライベートエクイティ(PE=未公開株)やベンチャーキャピタル(VC)、
プライベートデット(企業融資)、不動産、インフラなどが対象となる。
流動性が低くリスクが高い資産が含まれる半面、高めの利回りが期待できる。
・英調査会社プレキンによると、
オルタナ資産の資産規模は2027年末に21年比2倍の2700兆円に拡大すると予想されている。
世界の運用大手が注力するオルタナ分野で日本勢は出遅れている。
英シュローダーではオルタナ資産の運用残高が全体の1割弱を占める。
単純比較はできないものの野村 <8604> [終値855.5円]グループの
インベストメント・マネジメント部門のオルタナ資産比率は約2%。
政府が資産運用立国を掲げるなか、オルタナ資産の運用力強化が急務となる。
・りそな銀行 <8308> [終値836.6円]と日本生命保険は
住宅購入時に夫婦がそろって資金を借りるペアローンで、
がんと診断された際などに本人と配偶者が抱えるローンの残高をゼロにする
団体信用生命保険(団信)を開発。
10月から取り扱いを始める。
夫婦のいずれかががんになった場合や死亡時に世帯で返済に窮する事態を防ぐ。
住宅価格の高騰に伴うペアローンによる高額借り入れの増加に対応する。
保険料に相当する住宅ローン金利の上乗せ幅は今後調整するとしている。
通常の団信でがんを保障の対象に加えた際の上乗せ幅は年0.15~0.30%程度が一般的だ。
・米長期金利に上昇圧力がかかっている。
2/22には一時4.35%と3カ月ぶり高水準を付けた。
債券需給の緩みに加え、早期利下げ観測の後退が背景にある。
米国を含めた世界の金利上昇が安値圏にある円相場の下押し圧力としても意識されつつある。
・対ドル以外の通貨では円相場が安値を更新し始めている。
対ポンドでは2/23に1ポンド=191円台と15年8月以来の円安・ポンド高水準をつけた。
対ニュージーランドドルでも9年ぶりの円安水準にある。
外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長は
「主要国で利下げ開始時期が後ずれするとの見方が強まり、
投資家がリスクを取りやすい環境になっている」と指摘する。
主要国で最も低金利の円を売り高金利通貨を買う「円キャリー取引」が続き、
ドル以外の通貨にも円安圧力が強まりやすいとの見方を示す。
・チョコレート原材料であるカカオ豆の先物価格の上昇が止まらない。
国際価格指標であるロンドン先物(第2限月)の2/26終値は前日比4%高の1トン5558ポンドと、
初めて5000ポンド台で推移する。
2022年末から約3倍高となった。
カカオ豆の一大産地である西アフリカの供給懸念が広がり、
市場では品薄感による買いが一段と強まっている。
今後も上昇基調が続くとの見方が優勢だ。
専門商社のコンフィテーラ(東京・港)は
「1トン6000ポンドを超えるのも時間の問題」と話す。
・〈日経平均最高値 株高の先に〉製造業、日本復活けん引
阿部修平スパークス・グループ <8739> [終値1861円]社長 DXと融合、海外で成長
「やっと日本も当たり前に価格が上昇していく『普通の国』になろうとしているというのが大きい。
いままでは消費増税の影響を除けば日本のインフレ率はほぼマイナスで、
資産価格は上がりようがなかった。
米国の不動産価格は89年から10倍になった一方、日本の地価は当時の3割ほどだ。
株価も日経平均が当時の水準に戻る間に、米S&P500種株価指数は14倍になっている」
「伝統のある大企業、なかでもものづくり企業が日本経済復活をけん引するとみている。
彼らは経済の低迷期で合理化が叫ばれるなかでも、コストのかかる生産設備や人材、
ノウハウを維持し育ててきた。
三菱重工 <7011> [終値12090円]や日立 <6501> [終値12805円]
トヨタ <7203> [終値3582.0円]といった大企業は『ものづくりはダメだ』といわれるなか
技術力やコスト競争力を磨き、いま世界の市場を圧倒するまでに復権している」
「ものづくりとDXの融合こそが日本独自の成長モデルになると期待している」
・中国ネット通販最大手のアリババ集団は非中核事業の保有株の売却を始めた。
ネットとの融合をめざし出資や買収をしてきた旧来型の小売事業から撤退すると表明。
資本効率を重視する姿勢を打ち出し、かつての拡大路線を修正する。
アリババはこれまで多くの企業に投資し膨張を続けてきた。
中核事業への集中で再び高成長路線に戻れるのか。成果を出すには時間がかかる。
・人民日報傘下の証券時報(電子版)は2/27、
中国のネット掲示板「天涯社区」を運営していた企業が破産する恐れを報じた。
同社は米グーグルと連携してネット世論をけん引していた時期もあったが、
2023年に資金難などからサービス停止に追い込まれていたという。
グーグルが2010年に検索結果の検閲などを巡って中国当局と対立して
中国大陸で検索サービスなどを利用できなくなり、天涯社区との連携も終わっていた。
中国のネット当局はその後、ネットの統制を強化した
影響力が低下していたとみられる。
・11月の米大統領選に向けて、
トランプ前米大統領が共和党候補に指名される可能性が高まっている。
米メディアは事実とは異なる内容や誇張表現が多いものの
視聴者を引きつける前大統領の発言をどう報じるかに頭を悩ませる。
特に、事前にファクトチェック(事実の真偽確認)ができない
前大統領の演説を生中継するかの判断はメディアによって分かれている。
11月の投票日まで、米メディアは視聴率を稼げる前大統領を
「正しく報道する」バランスを模索する日々が続く。
・不動産運用のコンサルサービスを手掛けるヤモリ(東京・渋谷)、
地方で借り手や買い手が見つからない戸建てを購入し、修繕したうえで賃貸する事業を始める。
蓄積データを活用し、埋もれた優良物件を掘り起こす。
人口減に歯止めがかからず、各地で空き家問題は深刻さを増す。
スタートアップがデータや人工知能(AI)で解決に挑む。
・野村総合研究所 <4307> [終値4158円]全国の空き家が38年に最大で2356万戸に達すると推計。
全住宅の3軒に1軒が空き家となる計算だ。
対策は喫緊の課題で、政府や自治体が動き出している。
そこに独自の技術やサービスを持つスタートアップが加わっている構図だ。
・空き家の発生数を予測するAIシステムを手掛けるマイクロベース(東京・文京)は1月、
空き家を売却するために適切な価格を予測するシステムを開発。
愛知県豊田市や東京都町田市と連携した。
実際に売却された物件と売り出し中の物件を合わせて約2300軒分の情報をAIに学習させた。
所在地や築年数、リフォーム状況などを踏まえ、販売価格に合わせた売却成功確率をはじく。
実証実験では93%の精度で売却の成否を当てたという。
・別荘をサブスクリプション(定額課金)型で貸し出すSanu(東京・中央)は
空き家を別荘として再利用する。
今春までに兵庫県や長野県などで3棟を開設して計10棟体制にする。
レジャーに使うファミリー層やリモートワークをする会社員に人気だ。
アプリで予約やチェックイン、チェックアウトなどを完結できる手軽さも受けている。
稼働率は平日でも9割を超え、サブスクサービス全体の平均値(8割台)を上回る。
老朽化した空き家が増えると、景観が損なわれ、治安が悪化する恐れがある。
スタートアップが有効活用を後押しできれば、
所有者を支えるだけでなく、周辺地域の活性化にもつながる。
・政府は2/27、閣議決定した「重要経済安保情報保護・活用法案」で、
国際標準の機密保護制度を目指す。
発展が著しい人工知能(AI)や宇宙産業の最先端技術は軍事転用が可能なものも多く、
安全保障の概念は、経済や技術の分野にも拡大。
日本企業の商機拡大も期待される。
・木原稔防衛相2/27、能登半島地震の被災者を元気づけるため、
「ブルーインパルス」を飛行させる考え示す。
・次世代半導体の国産化目指すラピダスは2/27、
米国新興企業テンストレントからエッジAI(人工知能)向け半導体の製造を受託。
現在、建設中の北海道千歳市新工場での量産化目指す
Posted by 占い ザ・ハーミット at 12:47│Comments(0)