日経 4月1日

日経 4月1日

2024年4月1日(月)  

・経営者が「夢」を語り始めた。
 日経新聞が国内の主要企業の社長に実施した調査では
 122社のうち121社が経営者としての夢があると答えた。
 企業は停滞の30年でまとった縮小均衡の経営を捨て、再び世界に打って出つつある。
 国の富の源泉は政府でも家計でもない。企業だ。
 経営者の決断、そして経営者の夢が企業を次の飛躍の舞台へと向かわせる。

・3月下旬までに主要企業の社長(4月就任含む)にアンケートで夢を聞いた。
 「社会課題の解決」や「世界一」を目指す夢が多かった。
 経営判断で従来よりもリスクを取るようになったとの回答も8割近くに達した。
 経営者のモードチェンジが鮮明だ。

・経営の潮流も変わった。
 社会での存在意義を重視する「パーパス経営」やESG(環境・社会・企業統治)を意識した
 経営が広がり、株主ら特定のステークホルダー(利害関係者)だけに重きを置く経営は
 過去のものになりつつある。
 社長が語る夢に共感した従業員が成長のエンジンとなり、
 動き出した会社にはお金も人も集まってくる。
 夢は人を動かす力を持つ。資本主義の父、渋沢栄一は言う。
 「夢なき者は理想なし、理想なき者は信念なし」

・汗かく仕事、もっと面白く 日立 <6501> [終値13905円] 小島啓二社長
 夢の原点は1982年、入社早々の研究所にある。
 脳科学やDNA、自身では思いもつかないとっぴな研究成果が次々と出てくる。
 「面白い研究をする人は人間が面白い」
 研究所といっても実験記録の入力など手間のかかる作業も多い。
 鉄道の技術開発にも携わり、危険と隣り合わせの現場も見てきた。
 負荷が減り、楽しんで仕事をできれば世界にもっとイノベーションがあふれるはずだ。
 きつい、汚い、怖い――。現場を苦痛から解き放つ。
 どん底の時代がある。
 日立は2008年度、製造業で過去最大の赤字となり経営危機に陥った。
 当時は研究所長。事業売却で「研究が打ち切られ、仕事がなくなる」との不安が広がった。
 それでも夢を温め続けた。
 同時期、日本企業もIT(情報技術)革命で一敗地にまみれた。
 「米国勢が主導したデジタル化はオフィスワーカー中心の効率化だった」。
 「頭脳労働は人工知能(AI)に取って代わられる可能性もあるが肉体労働は必ず残る」
 夢に経営が同期する。センサーで動きを解析すれば労働で生じる体の苦痛をなくせる。
 メタバースで工場を再現し、
 アイデアを簡単に試せれば現場発のイノベーションが起こりやすくなる。
 肉体労働が面白いものに変わって社会を変える原動力となる。
 「日本の緻密な働き方に先端技術を組み合わせれば世界で勝てる」

・内向きの若者に世界を 日本航空 <9201> [終値2917.5円]の鳥取三津子社長
 航空機が燃えていた。
 1月2日午後6時前、自宅のテレビの映像が羽田空港に切り替わった。
 ほぼ同時に部下から携帯電話にメールが来た。
 「炎上中なのは日航機」すぐにまた携帯が鳴った。
 本社に向かう車中、頭から離れなかったのは乗務員の姿だ。
 自身も客室乗務員を30年務めた。
 避難訓練の総責任者も担い、訓練を繰り返し指揮してきた。
 火災からの脱出の難しさを誰よりも知る。
 「死者ゼロ」。確信した。訓練だけではない。
 「乗務員の強い使命感が乗客を守った」。
 世界は大きく変わった。
 現地に行かなくてもインターネットで世界中の情報が手に入る。
 仮想空間で観光までできる。それでも言う。
 「人と人とのつながりがあって初めて真の世界を知ることができる」。
 旅客動向を見るたび危機感が募る。
 若者がコロナでさらに内向きになった。夢は誓いでもある。
 「飛び続けて世界を知る機会を広げる」

・技術を究め紛争に終止符 由紀ホールディングス(東京・港)の大坪正人社長
 海外に仕事を奪われ、借金は年商の2倍まで膨らんだ。
 「もう後はない」。銀行への返済ばかり考えていた。
 2006年、祖父が創業したネジ製造の中小企業に31歳で入った。倒産寸前だった。
 自分に給料は出ない。アルバイトで日銭を稼いだ。
 生き残るにはネジで培った金属加工の技術を高めるしかない。
 航空機のエンジン用に特殊合金製のボルトを売り込み、ようやく窮地を脱した。
 現在は200人の従業員を雇う。年商は数十億円ある。
 夢の発電技術である核融合は海水から燃料をつくることができる。
 理論上は燃料1グラムから石油8トン分のエネルギーを得られる。
 課題の一つが燃料を1秒間に10回、秒速30万キロメートルで進む光にあてる技術だ。
 航空や宇宙で培った精密加工の技術を応用すれば可能性はある。
 迷わず言った。「ぜひやらせてください」
 ゴールは遠い。核融合は世界が国家単位で開発を競う。
 中小企業とは金や人、何もかも違いすぎる。それでも挑む。
 「技術で道を切り開く。世界の技術革新を中小がけん引するモデルになる」

・国土交通省はバスやトラックなど大型車を対象に、
 事故時にアクセルやブレーキの操作状況を記録する装置の搭載を2026年から段階的に義務化する。
 自動ブレーキや車線維持といった運転支援機能の作動状況を検証し、原因究明につなげる。
 収集したデータは、導入を目指している自動運転の安全機能向上にも生かす。
 道路運送車両法の保安基準を今年6月にも改正する。
 定員10人以上のバスや総重量3.5トン超のトラックなどの新型車で26年12月から、
 発売済みを含む全新車で29年12月から
 「イベント・データ・レコーダー(EDR)」と呼ばれる記録装置の搭載を義務付ける。

・自民党は派閥の政治資金問題を巡り、安倍派幹部の一部に離党勧告の処分を科す調整に入った。
 政治資金パーティー収入の還流の継続に関わった議員を最も重い処分にする。
 処分は離党勧告以外も含めて政治資金収支報告書の不記載が
 5年間で500万円以上あった議員ら40人規模が対象。


・市場が政府・日銀の為替介入に身構えている。
 一時1ドル=152円に迫り、政府関係者が一気に円安けん制を強めたからだ。
 もっとも財務省が介入を正当化する理由として強調してきた相場変動は足元で抑えられている。
 政府は変動幅よりも152円という水準を「防衛ライン」として重視している
 といった思惑を生んでいる。
 今週は米景気指標と介入警戒で波乱含みの展開も想定される。

・日銀出身で介入の実務経験もあるふくおかフィナンシャルグループ <8354> [終値4046円]の
 佐々木融チーフ・ストラテジストは
 「効果を最大限出すにはタイミングを見極めることが重要だ」と指摘。
 現時点で介入時期を予想するのは難しいが、
 市場が政府の情報発信に一段と敏感になるのは間違いない。

・能登半島地震の被災者救援のため、全国から派遣された「緊急消防援助隊」のうち、
 人命救助の成否を分ける「72時間」以内に激震地に入れたのが6割にとどまることが、
 日経新聞の調べで分かった。
 72時間は救援の目安として国や自治体の防災計画に盛り込まれているが、
 支援が迅速に届かないことを前提に初動対応の見直しが求められる。
 72時間が認識されるきっかけは1995年の阪神大震災だ。
 国の報告書は被災者の救助後生存率が時間とともに下がり、3日目に15%ほどになったとした。
 国は東日本大震災後に防災基本計画を修正し、
 救助活動における72時間の重要性に初めて言及した。

・関東圏のゴルフ会員権平均価格(主要150コース)の
 2月の平均価格は前年同月比9%高い257万7000円と、約10年ぶりの高値に。
 新型コロナウイルス禍での人気が感染収束後も続いている。
 株式相場の上昇で資産効果が出た富裕層らの会員権買いが活発なことも弾みとなった。

・4月からの新年度を迎え、食品や雑貨、サービスの値上げが相次ぐ。
 物価上昇は家計に直結するものの、賃上げとの好循環が生まれれば、
 日本の経済にはプラスに働く。
 トラック運転手や医師らの残業規制が強化され、一般生活に影響が及ぶ可能性もある。
 値上げは電力やサービス分野でも相次ぐ。
 電気代は5月請求分(4月使用分)から大手電力10社全社で上がる。
 一般家庭の電気代は平均的な使用量に基づくと前月比で441~579円高まる。
 再生可能エネルギーの普及に向けて国が電気代に上乗せする「賦課金」の単価上昇を反映させる。

・〈NEO-COMPANY〉夢は成長の原動力
 夢は成長の原動力だ。社会を変え、世界市場を席巻し、常識に挑む――。
 日本企業の社長の夢からは覚悟が透ける。
 停滞の30年で蓄えた人材や資金、技術を武器に世界で再び勝負する。
 かつて名経営者も夢を語った。
 決断と行動で社員をリードし世界を変えてきた。
 あなたの社長の夢は何ですか?

・〈NEO-COMPANY〉夢は成長の原動力
 ダイキン <6367> [終値20600円]十河政則社長
 「世界中の人々に快適で安心な空気を届け、気候変動の解決に貢献する」。
 三菱食品 <7451> [終値5620円]の京谷裕社長
 「生活者に不可欠な食品のサプライチェーンを持続可能な形で維持する」。
 食品卸として農水産物を安定して届け続けることを掲げた。

・〈NEO-COMPANY〉夢は成長の原動力
 サントリーホールディングスの新浪剛史社長
 「貪欲に世界で戦う。缶入りアルコール飲料で世界一に挑戦する」。
 村田製作所 <6981> [終値2824.0円]の中島規巨社長
 「グローバルでナンバーワンの部品メーカーとなる」。
 世界市場を席巻し、「最強企業」に飛躍することを夢にする。

・〈NEO-COMPANY〉夢は成長の原動力
 松下電器産業 <6752> [終値1445.5円]創業者で「経営の神様」、松下幸之助氏は
 「水道の水のごとく物資を豊富にかつ廉価に生産提供することでこの世から貧乏を克服する」。
 ホンダ <7267> [終値1891.0円]創業者の本田宗一郎氏
 「日本だけの日本一はたちまち崩れ去る。世界一であって初めて日本一だ」。
 いずれもトップとしての強い決意が社員を鼓舞し、両社を世界的企業に育てた。
 現社長の夢はどうか。
 パナソニックHD <6752> [終値1445.5円]の楠見雄規社長は
 「社会の進展のために人と技術を磨き上げ、皆様の『幸せのチカラに』なり続ける」。
 ホンダ <7267> [終値1891.0円]の三部敏宏社長は
 「ホンダを改めて存在が期待される企業にする」と答えた。

・韓国総選挙(国会議員選)は31日、選挙運動期間に入って最初の週末を迎えた。
 与野党リーダーによる政策議論は乏しく、
 街頭ではライバルを「犯罪者」「独裁者」と罵り合う消耗戦が続いた。
 国民の支持は与党と最大野党を軸に新党も追い上げをみせる展開だ。
 公共放送KBSの28日の報道によると、比例代表における世論調査では、
 与党「国民の力」、最大野党「共に民主党」、
 新党「祖国革新党」がともに2割前後の支持を得て、
 三つどもえの展開となっている。

・中国国家統計局が3/31発表した2024年3月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.8。
 前月より1.7ポイント高く、6カ月ぶりに好調・不調の境目である50を上回った。
 2月中旬の春節(旧正月)休暇後は3月にかけて生産活動が正常化した。
 国家統計局が同時に発表した3月の非製造業のビジネス活動指数は53.0。
 2月を1.6ポイント上回った。
 このうち建設業は前月から2.7ポイント上がって56.2だった。
 サービス業は1.4ポイント高い52.4となった。

・「4万円」後の針路 実体経済も動き出すか 好循環へチャンス広がる
 アーカス・リサーチ代表 ピーター・タスカ氏
 2024年度は日経平均株価の4万円超えや大幅な賃上げの追い風を受けて始まる。
 日本経済は停滞期を脱し、物価や賃金の好循環を実現できるのか。
 マーケットと経済学の第一人者に意見をぶつけてもらった。
 日本は2023年にもデフレから抜け出すチャンスがあったが、内需が弱く期待は裏切られた。
 24年はチャンスが広がっている。
 インフレの波が弱くなったことで実質賃金に上昇の兆しがある。
 中小企業にも賃上げが広がっているのも好材料だ。
 近年の円安は神秘的な現象だ。
 そもそも購買力平価で測った為替レートは1ドル=95円程度で、
 150円台というのはとんでもない水準。
 日本は他国よりインフレ率が低く、この点も本来なら円高要因のはずだった。
 基本的には日米金利差によってここまでの円安が進んだ。
 ただし米国の不動産市場などでショックが起きれば米連邦準備理事会(FRB)が態度を急変させ、
 潮目が変わる可能性もある。
 強烈な円安は勝ち組と負け組を生んでおり、一概には評価できない。
 グローバルにビジネス展開する大企業には有利だが、
 実質賃金のマイナスが続くなどひずみも生んできた。
 金利ある世界を実際に確認するにはまだルーペが必要。
 ただ私は日銀がうまくやっていると見ている。
 前回2006~07年の利上げ局面は2度目の利上げを急いで失敗した。
 今回も実体経済がどうなるかはまだ見通せず、急いで利上げする必要はない。
 慎重な利上げはマーケットにとっても望ましい。
 現実に今回の利上げ以降、急速な円高は起きなかった。
 市場は日銀がまだ金融緩和に積極的なハト派だと見ている。
 だからこそ多くの投資家が次々日本にやってきている。

・楽天グループ <4755> [終値849.8円]金融子会社を再編する方針を固めた。
 10月をめどに上場中の楽天銀行を含め、カードや証券を一つのグループにまとめる。
 懸案の携帯電話事業は足元で赤字額が減り、設備投資も抑えられる見通し。
 携帯を支えてきた金融事業を一体運営して企業価値を高め、
 同事業の成長資金の確保や会社全体の財務改善につなげる。

・LINEヤフー <4689> [終値387.6円]同社の資本構成について
 大株主のソフトバンク <9434> [終値1951.0円]と韓国ネット大手ネイバーに
 見直しを求める方針を固めた。
 両社はLINEヤフーに64.4%出資する中間持ち株会社に折半出資している。
 総務省は相次ぐ情報流出を受けLINEヤフーを行政指導し、
 同社への資本的関与を強めるようソフトバンクに口頭で要請していた。

・日本製鉄 <5401> [終値3668.0円]今井正社長兼最高執行責任者(COO)は
 米鉄鋼大手USスチールの買収計画を巡り「商品力の強化につながり、
 米国の産業界全体にも大きなインパクトがある」と述べた。
 米国の国益や経済安全保障に資すると訴え、
 買収への慎重論が広がる米国内での理解を醸成したい考えだ。
 日鉄はUSスチールの全株取得を計画する。
 計画を変える可能性について今井社長は「我々は『100%の買収』ということで
 (USスチールの提案に)手を挙げた。
 (変更は)我々が決めることではない」と述べた。

・スマートフォン世界大手の中国・小米(シャオミ)が電気自動車(EV)に新規参入。
 初のEV「SU7」は、米テスラや独ポルシェを上回る性能ながらも半値以下にした。
 EVをスマホや家電とつなぎ、人々の生活の隅々に入り込む「小米圏」の構築も掲げた。
 米アップルは「Appleカー」構想を断念したが、中国発の伏兵が現実にした。
 テスラがEVと再生可能エネルギーの融合を打ち出すのに対し、
 小米は「生活データ」の垂直統合を志向する。
 雷CEOは「人間、車、住宅のスマートエコシステムを完成させる」と訴える。
 革新は常に辺境からの挑戦者がもたらした歴史を忘れてはならない。

・海外勢を中心に日銀の「追加利上げ」を早期に迫る動きが出始めている。
 足元で止まらない円安を背景に、欧米のように
 日本でも継続的な利上げを迫られる可能性を意識するためだ。
 1%を超す水準まで利上げに追い込まれるシナリオを、市場はじわり織り込みつつある。
 足元で34年ぶりの水準まで下落した円相場。
 円安進行を止めるための急激な利上げか、国内景気を重視した低金利の維持か。
 22年以降に多くの国が直面した難しい問題が日銀にも投げかけられている。

・今週の米株式相場は上値の重い展開か。
 前週3/28にダウ工業株30種平均は3万9807ドルと史上最高値を付け、4万ドルの大台に迫った。
 大台超えを視野に入れながらも、4/5公表の米雇用統計の結果を見極めるまで
 積極的な売買は手控えられそうだ。

・原油相場は強含みの展開か。
 前週はウクライナによるロシア製油所への攻撃でロシアからの供給減が懸念されたほか、
 米株高を起因とする需要増観測も重なり、米原油指標は底堅く推移した。
 今週は石油輸出国機構(OPEC)プラスによる合同閣僚監視委員会(JMMC)の開催が予定、
 生産調整の議論を含め、参加者の発言に注目が集まる。
・日米フィリピン3カ国は首都・ワシントンで4/11予定する首脳会談でとりまとめる共同声明に
 ニッケルなど重要港物のサプライチェーン(供給網)の強化を盛り込む方向で最終調整へ。

・中国国家統計局3/31、景況感を示す製造業購買担当者景気指数(PMI)が3月は50.8に。
 2月から1.7ポイントの急上昇、好不況の判断の節目である「50」を6カ月ぶりに上回った。
 経済対策の効果も出始めているとみられる。

・小林製薬 <4967> [終値5095円]「紅麹(こうじ)」サプリと健康被害との因果関係が
 今後明確になれば、患者らへの補償とは別に、
 民事訴訟で多額の損害賠償を請求されるリスクがある。



Posted by 占い ザ・ハーミット at 12:40│Comments(0)
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